~減塩食をよりおいしく、「健康」課題の解決に向けた大きな一歩~世界初※1!電気刺激の活用で塩味が約1.5倍に増強される効果を確認―「味を調整できる食器」の開発につながる新技術―
※4 厚生労働省 令和元年 国民健康・栄養調査
※5 5.0g/日 未満(2012年、WHOガイドライン)との比較
※6 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
※7 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン。日本腎臓病学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
2019年から、宮下研究室とキリンは、人体に影響しないごく微弱な電気を用いて、塩味の基となる塩化ナトリウムやうま味の基となるグルタミン酸ナトリウムなどが持つイオンの働きを調整し、疑似的に食品の味を濃くしたり薄くしたりすることで味の感じ方を変化させる「電気味覚」の研究を共同で行ってきました。
このたび、微弱な電流で塩味をコントロールし、減塩食の味わいを増強させる電気刺激波形を開発しました。さらに、この技術を搭載した箸型デバイスを作成し、実際に減塩の食生活を行っている方を対象に臨床試験を実施した結果、減塩食を食べた際に感じる塩味が1.5倍程度に増強される効果を確認しました。
●研究概要
40歳~65歳で現在減塩をしている、または過去にしていた経験のある男女36名を対象に、微弱な電気刺激が付与される箸型デバイス(図1)を用いて、一般食品を模したサンプル(食塩を0.80%含有するゲル)と減塩食を模したサンプル(食塩を0.56%含有するゲル、食塩含有量は一般食品を模したサンプルとの比較で30%低減)を試食した後、感じた塩味強度について評価する試験を行いました。同じデバイスを用いて、減塩味噌汁の塩味強度や風味の変化についても評価しました。
減塩食を模したサンプルを試食するときに、開発した電気刺激波形(図2)を箸型デバイスに付与することで、電気刺激を付与しない条件と比較して塩味が1.5倍程度増強される結果が得られました。また、電気刺激を付与したときの減塩食を模したサンプルの塩味強度は、一般食品を模したサンプルと同等であることを確認しました(図3)。
これにより、食塩を30%低減した食品を摂取する際に、本技術を搭載したデバイスを用いると、通常の食事と同等の塩味を提供できることが示唆されました。
また、減塩味噌汁を用いた実験においても、塩味の増強効果が確認され、コクやうま味、全体のおいしさの向上を感じたという意見が得られました。
●今後の展開
キリンは、お客様の食生活をよりおいしく、より楽しく、より健康にすることができるよう、食生活の満足度を高めて「生活習慣病予防」