2022年5月6日 15:00
英語学習をやり抜く脳はスモールステップによる達成感で育つ
私たちの脳は、英語を学習することによってどのように変化するのでしょうか?今回、ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(※以下、IBS)では、このような疑問について探るべく、脳の研究をご専門とし、英語学習に関する研究結果も発表されている細田准教授(東北大学)にお話を伺い、公式サイトにて記事を公開しました。英語学習と脳の関係、親が子どもに与える影響などについて紹介します。
●英語を学習すると、英語力が高くなるだけではなく、英語力が高い人の脳構造に近づく(右の前頭前野が大きくなる)。
●英語学習を継続できる人とできない人は、「やり抜く力」に関わる前頭極の大きさが異なる。
●スモールステップで達成感を多く得られる方法で学習すると、英語学習を継続できるようになるだけでなく、「やり抜く力」が高い人の脳構造に近づく(前頭極が大きくなる)。
●幼児期の「やり抜く力」は、親の「やり抜く力」と相関している。子どもにやり抜く習慣をつけさせるためには、まずは親の行動を見直すこと、そして、子どもが自己効力感を保てるようサポートすることが重要。
細田 千尋 准教授
細田先生は、大学時代に第二言語学習について学び、バイリンガルの人は脳損傷や脳卒中などで脳の一部が壊れてしまうと片方の言語しか話せなくなるという研究結果を目にしたことがきっかけで、英語学習と脳の関係について研究を始めたそうです。
細田先生の話によると、第二言語の能力が高い人は、第二言語を使うときに活動する脳の範囲が比較的少ないということがわかっています。では、英語力の高さによって脳の構造にも何か違いが出るのでしょうか?細田先生にご専門の脳研究について詳しく伺いました。
■ 英語を学習すると脳の構造が変化する
「生まれたときの脳が英語の能力を決めているのかどうかを調べた研究があります。まず、TOEICのスコアと相関している脳の場所を明らかにしました。これは、右の前頭前野で、先ほど、英語力が高いほどたくさん活動する、とお話ししていた場所です。そして、TOEICのスコアが200もいかないような、英語力が低い人たちは、英語学習のトレーニングを受けたら脳の構造がどうなるか、ということを見ました。
結果、TOEICのスコアが30%くらい伸びた人は、右の前頭前野が大きくなっていました。」と細田先生。続けて「でも、実験後、英語を学習せずに1年が経過すると、TOEICのスコアも右の前頭前野の大きさも元に戻っていました。