【日本初】Lancet Countdown 2023 Japan プレゼンテーション 子どもの健康問題としての気候変動セミナーを実施
をテーマに、気候変動が子どもの健康に及ぼす影響について、専門家たちによる活発な議論がパネルディスカッション形式で展開されました。
【基調講演】
第一部の前半では、ランセット・カウントダウンの共著者であり、米国と欧州で20年以上にわたって「暑熱と健康」に関する研究を行うシドニー大学 教授 オリー・ジェイ(Ollie Jay)先生が「ランセット・カウントダウン 健康と気候変動に関する2023年報告書」が示す気候変動が健康に与える影響の最新知見を概説しました。
シドニー大学 暑熱と健康 教授 オリー・ジェイ(Ollie Jay)先生
■死亡リスクから感染症の伝播まで気候変動が世界中に及ぼす健康への影響
気候変動は世界中の多くの人々の健康に影響をもたらす非常に重要な問題です。第28回目のCOPでも健康が中心的な話題になり、初めて「ヘルス・デー(健康の日)」を設けて、様々な影響や気候変動に対する解決策について人間の健康・ウェルビーイングという視点で議論されました。
■猛暑は乳幼児の将来的な健康リスクから高齢者の病気まで広く影響を及ぼす
猛暑は色々な形で年齢に関わりなく人に影響をもたらします。2013年から2022年にかけて、乳幼児と65歳以上の人々が経験する熱波の日数は、1986年から2005年に比べ、年間平均で108%増加しました。小さな子どもたちや高齢者など(体を)冷却する能力が低い状態の人々は極端な暑熱に影響を受けやすいです。75歳を超えた高齢者に関しては、身体的に発汗するということが難しくなり、オーバーヒートの危険が高まります。
例えば、心臓血管の疾病がある人は皮膚の表面まで血液を回さなければいけないのにその能力が低くなってしまっています。それによって心臓血管の疾病のリスクが非常に高くなります。脱水そして腎疾患の基礎疾患がある人はより多くのリスクを抱え、慢性腎不全等の腎臓の疾患が悪化する可能性があります。
さらに女性が妊娠中に猛暑を経験することで、死産や早産などといったリスクが高まり、その子どもたちの体重あるいは振る舞いに影響を与えるリスクが高まることも分かっています。
■過去10年間で世界の約10%が熱帯熱マラリア原虫の伝播に適した条件に
気候条件の変化は、公衆衛生上懸念される様々な感染症の伝播に影響を及ぼします。例えばウエストナイルウイルスの伝播に適した気候条件で見ると、年平均で1951-1960年に対して過去10年間では4.4%増加しています。