全国的に暑くなることが予測されている夏に向けて「異常気象と気候変動の関係と子どもの健康問題」についてセミナーを開催
気候変動の影響が世界各地で見られる中、その範囲は異常気象にとどまらず、人々の健康と命の問題にまで拡大しています。世界気象機関(WMO)は、昨年の世界の平均気温が観測史上最も高かったと発表、日本でも各地で最高気温30℃以上の真夏日が過去最長を記録しました。気象庁は、今年の夏も猛暑になる可能性があると予想しています。
「異常気象と気候変動の関係と子どもの健康問題」
そこで2024年5月8日、現役医師や医療関係者などによる、気候変動による健康被害に関する啓発プロジェクト「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」と「東京医科歯科大学 ウェルビーイング創成センター(CWRA)」、「東京大学 大気海洋研究所」は共催で、「異常気象と気候変動の関係と子どもの健康問題について」と題し、報道関係者を対象としたセミナーを実施しました。
はじめに登壇した東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系 今田 由紀子 准教授によるプレゼンテーションでは、異常気象(極端な気象現象)への気候変動の影響を定量的に示す「イベント・アトリビューション」を用いて「異常気象と気候変動の関係」についての解説があり、つづいて東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 公衆衛生学分野の藤原 武男 教授によるプレゼンテーションでは、「気候変動・異常気象がどのように子どもの健康に影響を及ぼすのか」について発表がありました。
*****本セミナーサマリー*****
1. 異常気象への気候変動(地球温暖化)の影響が科学的に証明されるようになってきた。
2. 「イベント・アトリビューション」によると、例えば2023年の猛暑は、温暖化がなければ起こり得ないものだった。
3. 熱中症の被害件数とイベント・アトリビューションを結びつけ、熱中症による被害に対しても地球温暖化がどれくらい影響しているのかを定量化できるよう、新たな取り組みも。
4. 気候変動は、何をしていても地球上に生きている限り全員に影響を与える点を踏まえることが重要。
5. 健康影響には直接的な影響と間接的な影響があり、大気汚染やアレルゲンの増加など「原因の原因」という点でも気候変動の影響を受けている。
6. 「子どもは小さな大人ではない」。感受期にある、大人に依存しているなどの6つの点から、特に子どもは脆弱な存在であることを認識する必要。7. 「早産」や「喘息」