全国的に暑くなることが予測されている夏に向けて「異常気象と気候変動の関係と子どもの健康問題」についてセミナーを開催
小学生は平均14分外で遊んでいますが、大人になるにつれて屋外での活動時間は下がっていきます。大人であれば、暑い日中に屋外に出ることを避けて早朝や夜にランニングをするなど工夫ができますが、子どもは安全性などを考えるとなかなかできにくいですし、熱の影響だけではなく、蚊といった感染症の媒介物への暴露のリスクも高まります。
5つ目は、幼少期の健康への影響がその後も長く続くということです。例えば、子どもの頃の喘息の影響は将来にわたって長く続き、大人になっても喘息が続いていたりするとアレルゲンを避けるためにずっと家にいます。そうすると活動量が下がって肥満になるということもわかっていますし、休みがちになって欠勤してしまい、そうすると収入も低くなるといったことが考えられます。
6つ目は、大人に依存して生活しているということです。子どもには、保護者だけでなく保育園や幼稚園の先生、学校の先生、さらにクラブのコーチなど色々な大人が関わっており、子どもがどこでどう遊ぶのかは大人が決めることが多いです。そのため、そばにいる大人が気温のリスクやその他の間接的な要因に気づかなければ、子ども本人は避けることができません。
また、論文にも書いてあったのですが、もし子どもが仮に自分でリスクに気づいたとしても、状況を変えるために投票をすることもできないですし、あるいは環境に配慮した会社の製品を買うというチョイスもほとんどの場合ではできません。つまり、子どもはステークホルダーになり得ないということも考えないといけません。
・日本における具体的な子どもへの健康被害
健康への影響としては、もう熱中症、熱射病は分かっていると思いますが、香港のデータによると、夏において1日の平均気温が27度の時に比べると、30度になった場合の喘息による入院リスクは約1.2倍になっています。
全員に影響を与えるので、数字としては小さく見えますが重要です。5歳から14歳の子どもに限ると約1.3倍になるというデータが出ています。(2023年8月の平均気温は29.2度)
日本に関連するエビデンス:喘息
さらに、湿度だけの影響を見てみると、湿度が70%の時に比べて94%になると、喘息のリスクが約4倍となっています。極端な例かもしれませんが、湿度の影響も無視できないと思います。
日本のデータとしては、兵庫医科大学の島先生が姫路で同様の研究をされており、子どもの喘息発作による夜間救急外来のデータがあります。