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連載 細川珠生のここなら分かる政治のコト

「区政を止めてはいけない」民間企業の経験も活かしてたどり着いた豊島区長の願い【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.47】

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「最初から区長を目指していたわけではありませんでした」――そう語る高際みゆき豊島区長。民間企業、都庁、国への出向を経て、豊島区副区長として働く中で、思いがけず訪れた区長という選択。迷いながらも決断した背景には、「区政を止めてはいけない」という強い責任感がありました。区民一人ひとりの声に耳を傾け、小さな「困った」に向き合い続ける姿は、子育てや仕事に向き合うママたちにも重なるはず。ハキハキと元気の伝わる区長は、顔の見える一人ひとりの区民に寄り添い、豊島区の区政を進めています。

「区政を止めてはいけない」民間企業の経験も活かしてたどり着いた豊島区長の願い【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.47】 お話を聞いたのは…
豊島区 高際 みゆき区長

1965年7月6日生。東京女子大学文理学部 社会学科卒。民間勤務を経て、東京都入庁。

日本司法支援センター(法テラス)犯罪被害者支援課長、福祉保健局 総務部 副参事(区市町村連絡調整担当)、福祉保健局 少子社会対策部 計画課長、生活文化局 私学部 私学振興課長、生活文化局 総務部 総務課長、公立大学法人首都大学東京 総務部長などを経て、2018年4月に政策企画局 小池百合子都知事の秘書事務担当部長、2020年4月に豊島区副区長(コロナ対策・福祉・健康・子育て支援・若年者支援・文化・環境・産業振興を担当)を経て2023年4月 豊島区長就任。趣味は一人旅(アジア、秘境が大好き)、読書、映画鑑賞。
>>豊島区公式HP 区長紹介ページ



―高際区長は、最初から政治家を目指していたのですか?
高際区長:いえいえ、全然考えていませんでした。最初は民間企業に入り、その後、東京都庁に入り地方公務員となりました。都庁から国への出向など、いわゆる行政職員としてのキャリアを積んできました。副区長として豊島区に来たときも、「この経験を糧に、また都庁に戻って定年まで働く」と思っていたんです。

―では、区長になる決断はいつされたのですか?
高際区長:本当に直前です。高野前区長から「次の選挙に出てほしい」と言われたのは、亡くなられる少し前のことでした。
それまでは、区長になるなんて一度も考えたことはありませんでしたね。
「区政を止めてはいけない」民間企業の経験も活かしてたどり着いた豊島区長の願い【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.47】
―迷いはありませんでしたか?
高際区長:もちろんありました。都庁に戻ることが決まっていましたし。でも、高野前区長からのお話しで、「区政を止めてはいけない」という思いが強くなりました。最後に「出ます」とお伝えしたら、とても安心された表情で、その数日後に亡くなられたんです。なので、その時の表情は今でも覚えています。

―実際に区長になってみて、いかがですか。
高際区長:今は「区長でよかった」と心から思っています。
基礎自治体の仕事は、区民の声がとても近いんです。町会の方、民生委員さん、子育てや教育に関わる方など、区民と距離が近く、すぐに声が届く。それに応えて形にしていけるのが、何よりのやりがいですね。

―日々の仕事で、印象に残っていることはありますか?
高際区長:一つひとつは小さな事業でも、区民の生活に直結しています。「助かった」「うれしい」と言ってもらえると、本当にやってよかったと思います。

「区政を止めてはいけない」民間企業の経験も活かしてたどり着いた豊島区長の願い【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.47】
―都庁時代とは違いますか。
高際区長:都庁時代は、都民一人ひとりの顔が見えることは少なかったので、その違いは大きいですね。

―区民との距離が近いからこそ、大変だなと思うこともあるのではないでしょうか。

高際区長:時には厳しい声もあります(笑)。でも、耳の痛い話しほど大切にしています。「今までできていなかったこと」に気づかせてもらえる。ママたちからの声もそうですが、現場の声は宝物だと思っています。

―民間企業でのご経験を、今の仕事に活かしている実感は?
高際区長:とてもあります。民間の方と話すことに抵抗がないんですね。役所は、民間というと、ちょっと構えてしまうことがありますが、私はそんなことはなく、逆に発想に驚かされることも多い。今は公民連携が当たり前の時代。
行政だけで抱え込まず、みんなでより良い形を考えていきたいですね。

取材・文/政治ジャーナリスト 細川珠生


「区政を止めてはいけない」民間企業の経験も活かしてたどり着いた豊島区長の願い【細川珠生のここなら分かる政治のコト Vol.47】 政治ジャーナリスト 細川珠生

聖心女子大学大学院文学研究科修了、人間科学修士(教育研究領域)。20代よりフリーランスのジャーナリストとして政治、教育、地方自治、エネルギーなどを取材。一男を育てながら、品川区教育委員会委員、千葉工業大学理事、三井住友建設(株)社外取締役などを歴任。現在は、内閣府男女共同参画会議議員、新しい地方経済・生活環境創生有識者会議委員、原子力発電環境整備機構評議員などを務める。Podcast「細川珠生の気になる珠手箱」に出演中。

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