【プロ指導】洋書の1ページみたい!イマドキ料理写真をスマホで撮る方法
洋書やおしゃれな料理雑誌などで最近よく見かける”ライブ感のある料理写真”。
調理中や、仕上げのソースをかける瞬間など……。人物の気配をフレーム内におさめることで、料理の美味しさを際立たせる効果があります。
そこで、日本初の料理道具コンサルタントで、食のデザインスクール「レコールバンタン」のスタイリングの授業や、料理写真教室の講師も務める荒井康成先生に”美味しく見える料理写真の撮り方”をレクチャーいただきました。
使用するのは、iPhone6のカメラ(スクエアモード)。そう!スマートフォンで撮れるんです!恋人と料理を作ったとき、気心の知れた友達とのホームパーティのとき、最高の料理と最高の思い出を撮ってみてはいかがでしょうか?
料理は自然光で撮影しましょう
自然な色味や立体感を出して、やわらかな印象にするため、日の光が入る窓の近くで撮影しましょう。室内の照明も、余計な色味が加わってしまうのでオフに。
フラッシュをオンにして撮ると生々しい色になるだけでなく、フラットな印象になり、美味しさも半減してしまいますので使わないようにしましょう。
基本的に、サイド光( 被写体の左右のいずれかから光が当たっていること)もしくは逆光(被写体の後ろから光が当たっている状態)で撮るようにして。
平たい料理にメリハリを与えたい場合は逆光にしたり、逆光だと料理全体に影が落ちてしまう場合はサイド光にしたり……。
料理に合わせて光の当たり方や影をしっかり見て、美味しそうに見える位置から撮影しましょう。
1:でき上がりの瞬間
Photo by 荒井康成
「チキンと野菜のハーブソテーがジュージューと音を立てて、いい香りがふんわりと鼻孔をくすぐって……」。ゴクリと思わず喉を鳴らしてしまう”でき上がりの瞬間”もシャッターチャンス!
主役のグリルパンだけだと味気ない印象になるため、オリーブオイルや、包丁、タイム、トングなど、使った道具や食材もさり気なく入れるのがポイントです。作った痕跡を残すことで、料理の完成写真にはないストーリーがにじみ出てきます。
グリルパンは、思い切って半分だけ入れるように寄ると迫力満点になりますよ。キッチンの生活感のあるコーナーが写りこみにくい、真上からのアングルがベター。
被写体との距離が必要なため、脚立や椅子の上に乗って撮影しましょう。火の近くなので、注意すること!
2:つまもうとする瞬間
Photo by 荒井康成
「早く食べたい!食べたい!」。テーブルに置いた瞬間にゲストがご馳走にありつこうとする瞬間も見逃さないで!複数の手を入れれば、パーティーの盛り上がりの雰囲気が伝わるだけでなく、料理のサイズ感がわかるようになるのも◎。
真上から撮ることで手がフラットな印象になり、”悪目立ち”しなくなるため、料理の存在感をキープできます。もし演出が可能なら、女性は指をほんの少し反らすようにつまんでもらう(写真左)とエレガントな印象になりますよ。
つまんだ瞬間をきれいに撮影できるように、生春巻きはぎゅーぎゅーに盛らずに余白を出して配置して。
3:ソースをかける瞬間
Photo by 荒井康成
ソースをかけたり、ハーブを散らしたり……。料理の完成写真では分かりにくい、仕上げの細かなこだわりポイントを撮ると、美味しさが引き立ちますよ。
テーブル上に物が散乱している場合は、余計なものが写り込まないように片づけて。
連写機能を使えばソースを垂らす瞬間をおさえることができ、躍動感もアップ。また、壁とテーブルの縁を入れて奥行き感を出すと、位置関係も明確になります。
人物の顔を入れてしまうと主役である料理が目立たなくなってしまうため、手と腰を少しだけフレーム内に入れる程度にするのもポイント。
4:サーブしている瞬間
Photo by 荒井康成
取り分けているシーンは、”あの人に美味しく食べてもらいたい”という気持ちが込められている瞬間。このとき、拳を握らず、指を伸ばし気味にしてもらうと上品な見た目に。
こちらも人物の顔は入れず、料理がしっかり見える位置にアングルを合わせ、あくまでも料理が主役であることを意識してください。サーブしているパスタを強調させたいので、ピントはフォークに合わせて。
写真ではグラスを2個写り込ませて、”相手がいる”ということをさりげなく表現しています。パーティでの盛り上がりや、一生懸命作った気持ちなど……。人の気配も入れることで、味以外の思い出も残すことができますよ。ちょっと手間はかかるけれど、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
【荒井康成】
日本初の料理道具コンサルタント。料理学校での講師、料理道具メーカーのフードスタイリング・デモンストレーション、食情報誌での執筆・監修などで幅広く活躍。
『ELLE a table』(Web版)では、ツールハンターYASUとしてコラム連載中。著書『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター)がある。
食のデザインスクール「レコールバンタン」では、フードコーディネーター・カフェ・レストランコースのスタイリングや料理写真の撮影方法の講師を務めている。
カメラ雑誌『PHaT PHOTO』(株式会社シー・エム・エス)主催の料理写真教室でも定期的にレクチャー中。スタイリングなどの演出法を軸に、ストーリーのある料理写真の撮り方を提案している。
(トップ画像:荒井康成)
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