オンナが美しくなる教養。これだけ読めば秋の風流「星・花・歌」がまるわかり!
8月23日~27日頃は、第四十候「綿柎開(わたのはなしべひらく)」。実がはじけて、綿の花がのぞく季節。綿の花はやわらかなクリーム色をしたハイビスカスのよう。
でも「綿花」とは、花のことではありません。花のあとにできるもふもふした白い綿のこと。もふもふ、ふわふわしたものは、見てるだけで心をまあるく、やわらかくしてくれますね。澄み切った空気に、秋の花がゆらゆらと。
残暑が厳しいですが、もう暦のうえでは秋の季節。
今日はこの時季の美しい季語と、秋の花をご紹介しましょう。
七十二候とは?
時間に追われて生きることに疲れたら、ひと休みしませんか?流れゆく季節の「気配」や「きざし」を感じて、自然とつながりましょう。自然はすべての人に贈られた「宝物」。季節を感じる暮らしは、あなたの心を癒し、元気にしてくれるでしょう。
季節は「春夏秋冬」の4つだけではありません。日本には旧暦で72もの豊かな季節があります。およそ15日ごとに「立夏(りっか)」「小満(しょうまん)」と、季節の名前がつけられた「二十四節気」。それをさらに5日ごとに区切ったのが「七十二候」です。
「蛙始めて鳴く(かえるはじめてなく)」「蚯蚓出ずる(みみずいずる)」……七十二候の呼び名は、まるでひと言で書かれた日記のよう。そこに込められた思いに耳を澄ませてみると、聴こえてくるさまざまな声がありますよ。
秋といえば!月が主役じゃない夜。
「星月夜(ほしづきよ)」という言葉をご存じですか?
月がなくても、満天の星がまるで月夜のように、明るくきらめく夜を「星月夜」といいます。なんて美しい言葉でしょう。まるで、きらきらと音をたてて星が降ってきそう。月ではなく、星が主役の夜もすてきですね。
ちなみに月が輝く夜は「月夜(つきよ)」。
清く明るい心のことを「心の月」というんだそうです。この時季は「チッチリリッ」と鳴くマツムシの声に耳を澄ませながら、夜空を眺めてみませんか?
萩(はぎ)の花は●●の妻?
春の七草は有名ですが、秋にも七草があります。萩、桔梗、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、尾花(おばな・すすきのこと)、撫子(なでしこ)。
春の七草のように七草粥にしていただくことはできませんが、観賞用として親しまれてきました。
秋の七草は和歌にも登場します。私がユニークだなと思ったのは、萩の花にまつわる和歌。実は萩の花、ある方の妻といわれています。
ある方というのはなんと「鹿」!萩の花が咲く時季と、牡鹿がよく鳴く季節が重なることから、萩は「鹿の妻」、鹿は「萩の夫」ともいわれているんです。
万葉集には、「私の住むおかに牡鹿が来て鳴く。萩の初花を花嫁にしようと鳴く牡鹿よ」という和歌もあります。常識にとらわれない自由な感性。万葉の歌人はユニークですね。
秋の花からパワーチャージ!
今の季節の花といったら「秋桜(あきざくら)/コスモス」。こちらは、与謝野晶子の歌。
「こすもすよ強く立てよと云ひに行く女の子かな秋雨の中」
私にとってコスモスといえば、その印象を一変した出来事がありました。
前日の暴風雨でなぎ倒され、まるで息絶えてしまったかのようだったコスモス。
ですが、翌日にはしっかりと顔を持ち上げてピンク色の花が空を見上げていました。
コスモスはいたるところで目にすることができる身近な花ですね。それだけ生命力が強いという証拠。
コスモスはその色によって、さまざまな花言葉があります。
ピンクは「乙女の純情」、赤は「乙女の愛情」、黄色は「幼い恋心」、白は「美麗」、野生の原種は絶滅したといわれる黒は「恋のおわり」。
断ち切れぬ思いを抱えている方がいらっしゃったら、黒いコスモスを部屋に飾ってみてはいかがでしょう。逆境をものともせぬコスモスのたくましい力をチャージして、涙をぬぐって歩き出せるはずです。
季節を味わえば、幸福を感じられる。
この時季、旬の食べ物といったら葡萄ですね。日本では30~40種類の葡萄が栽培されているそうです。
ワイン好きの私は、葡萄を一粒ずつ冷凍。あとは水に入れて皮をするっとむいてグラスへ。そこへスパークリングワインを注いで楽しんでいます。スパークリングの香りただよう葡萄を最後にいただく瞬間がたまらないんですよね。ぜひおためしを!
豊かな季節の移ろいを味わい、豊かな心を育みましょう。
【参考】『くらしを楽しむ七十二候』広田千悦子/泰文堂