きれいな別れ方と汚い別れ方のちがい ~『バイバイ、ブラックバード』に学ぶお別れの作法~
「恋の始まり」って、それがどんなものであっても、振り返ると素敵な思い出になっていることが多いと思うのですが、逆に「恋の終わり」はどうでしょう?
私の場合、終わりは最悪なものとなって記憶に残ることが多いです。もう友達には戻れない、一生会えない。しかも相手にはすでに新しい彼女がいる!という状況だと、もう発狂するしかないよな、と思います。それでも、どんな最悪な「さよなら」を経験しても、相手のことを嫌いにはなれなくて、悩むのですよね。
今回ご紹介したい本は、なんと五股をしている男性が主人公です。5人全員の女性に「さよなら」を告げに行く話なのですが、これが意外にもユーモラスで温かい内容でした。
恋人との「素敵なさよなら」って、ホントにあるのでしょうか?本書を参考に、考えてみたいと思います。
※ 『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎著(双葉社)2010
星野一彦による、5人の恋人たちへのお別れ行脚このお話の主人公は、会社員の星野一彦。
5人の女性と同時に交際し、しかも全員を大切に想っているという、困ったタイプです。
金銭絡みで大変なことをやらかし、<あのバス>と呼ばれる物騒なバスに連行されることになり、その前に彼の最後の願いとして、5人全員に別れを告げに行く……というストーリーです。