きれいな別れ方と汚い別れ方のちがい ~『バイバイ、ブラックバード』に学ぶお別れの作法~
私の場合、終わりは最悪なものとなって記憶に残ることが多いです。もう友達には戻れない、一生会えない。しかも相手にはすでに新しい彼女がいる!という状況だと、もう発狂するしかないよな、と思います。それでも、どんな最悪な「さよなら」を経験しても、相手のことを嫌いにはなれなくて、悩むのですよね。
今回ご紹介したい本は、なんと五股をしている男性が主人公です。5人全員の女性に「さよなら」を告げに行く話なのですが、これが意外にもユーモラスで温かい内容でした。
恋人との「素敵なさよなら」って、ホントにあるのでしょうか?本書を参考に、考えてみたいと思います。
※ 『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎著(双葉社)2010
星野一彦による、5人の恋人たちへのお別れ行脚このお話の主人公は、会社員の星野一彦。
5人の女性と同時に交際し、しかも全員を大切に想っているという、困ったタイプです。
金銭絡みで大変なことをやらかし、<あのバス>と呼ばれる物騒なバスに連行されることになり、その前に彼の最後の願いとして、5人全員に別れを告げに行く……というストーリーです。
主人公の見張り役として、繭美という、身長が190センチ、体重が200キロの自称ハーフの女性が同行します。彼女は歯に衣着せぬ物言いで、いつも辞書を持ち歩いています(ちなみにその辞書のなかでは、「気配り」、「愛想」、「同情」の語が塗りつぶされています)。
そして、彼に別れを告げられる女性たちは、とっても魅力的です!ある女優は、浮気は認めても、別れることには最後まで納得しません。
ある天真爛漫な女性は、趣味がなんと泥棒です。黒いつなぎを着て、肩をロープでぐるぐる巻きにして、バーゲン会場に忍び込もうとする子でした。彼女は逆に、別れを告げられても「じゃあ、星野っち、さよなら。
わたし、それどころじゃないの」と言い放ち、また泥棒に行こうとする……(笑)。
でも、5人全員とも、けして彼のことを罵倒したり、悪口を言ったりもせず、どこか希望がみえる素敵な彼との「お別れ」を迎えていたことに、私はとても驚きました。星野一彦は、たしかにとんでもない浮気魔だけれど、ウソをつくことも計算することも全然できなくて、いつも真剣に全力で相手と向き合っていました。それがちゃんと、伝わっていたのだろうな、と思います。
まあ、5股はどーかと思うのですが。
相手のことをきちんと思いやった恋人とのお別れは、そんなに悪いものにならないみたいです。
「この人に会えて良かった、人生がちょっと楽しくなった」最後にそうやって、クスッと笑って、「バイバイ」と手をふれるような恋人とのお別れを……お別れと言うか、もし別れることになってもそう思えるように、日頃から大切な人と向き合っていけたら素敵です。
ちなみに怪物のような見張り役、繭美も、物語で重要な鍵をにぎっていますよ!
良かったら、読んでみてくださいね。
Photo by amazon – 『バイバイ、ブラックバード』
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