赤い糸でむすばれたもの~海を越えた遠距離恋愛~【私をしあわせにしてくれる1000のアイテム】#0032
勝手に進む、いやな妄想。もしかして、新しい女の子を見つけてしまったのだろうか。そんなはずはない。だって、別れ際にぎゅっと抱きしめて、キスしてくれたもん。
街で見かけるカップルのように、手をつなげなくてもいい。ただ、あなたのことを想い続けたいの。もう、こんなに好きになってしまったんだから。しかたないでしょう。
考えすぎちゃダメ恋愛の秘訣のひとつに、恋人と距離が近ければ近いほどうまくいくと、今月買った雑誌に書いてあった。職場で毎日顔を合わせているカップルや、自転車ですぐ会いにいける距離にあるカップルは、うまくいきやすいということなんだって。
でも私は、そんなことには惑わされないって決めたんだ。いつかきっと、またあの頃のふたりに戻れるはずだから。
会えない時間が長く感じるほど、彼のことを考えてしまう。メールの返事が少し遅いだけで、催促のメールを送りたくなってしまう。だけどそれは嫌われるから、やめたほうがいいらしい。
いまここで会いたい彼のことを考えすぎないようにと、最近、近所のジムに通い始めた。ウォーキングマシンに乗りながら外をながめていると、彼が乗っていた日産スカイラインが通り過ぎた。「彼が迎えにきてくれたのかしら?」……なんちゃってね。
楽しかった時間がふと頭をよぎる。もしいま、彼がここにいたら、私たちは何をしているだろう。
彼が好きだったインドカレーのレストランに行きたいと言うかもしれない。おいしいと喜んでくれた、手作りの餃子をもう一度作ってあげたいな。
彼と会えない時間は私をより一層強くする。見えない赤い糸があるとすれば、それは海を越えて、どこまでも続いているはずだから。
今夜も、彼からのメールが入った携帯をにぎりしめてベットに潜り込む。ふたりで撮った思い出の写真を待ち受け画面して。それは、赤い糸でむすばれた、しあわせのお守りだ。
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