なぜそれを聞く?外国人が困る日本語会話で学ぶ「おもてなし美人」への道
外国人に興味津々で話しかけたくなる気持ちはわかりますが、その会話、もしかしたら相手は困惑しているかもしれません。
わたしは、バリ人の夫と6年ほど日本で暮らしたことがあります。
その時の夫の経験を元に、「こんな会話はちょっと困る」という例を紹介したいと思います。
実録!筆者の夫が体験した「そこが変だよ日本人」
同じ日本人同士ならこんなことはないのに、相手が外国人となると急にこんな展開に……。
みなさんも思い当たることはありませんか?
「助けたい気持ちはわかるけど……」
ある日、電車に乗っていた時のこと。女性が急に「May I help you?」と話しかけてきたそうです。
夫は座席に着いており、特に困ったこともなかったので、「大丈夫です」と日本語でお断りしました。
親切心から聞いてくれたのだとは思いますが、どこを見て助けが必要だと感じたのか、かなり驚いたそうです。
状況を見てから話しかけるというのは、日本人も外国人も同じでしょう。
「納豆と梅干のトピックは、そんなに重要なのか」
どうして、わたしたち日本人は「納豆と梅干が食べられるか?」って外国人に聞きたがるのでしょう?
そして「食べてみたい」と答えた日には、「ウソだろ~。絶対食べられないよ。おい、ちょっと納豆持って来い!」などという展開を好むのでしょう?
さらに、誰かが納豆を運んでくる間にも、切々と納豆や梅干の悪い点ばかりが語られます。夫は職場が変わるたびに、毎回このシチュエーションに遭遇したそうです。
「彼らは納豆や梅干を勧めたいのか、それともけなしたいのか、まったくわからない」と、とても不思議がっていました。
「寿司のことばかり聞く」
夫は、寿司関係の質問もよくされていたそうです。
みなさんも、外国の方との会話が途切れたときに、なんとなく言ってませんか?「Do you like Sushi?」と。
確かに、世界に誇れる和食文化の頂点である寿司は、今やどこの国でもヘルシーフードとして人気が高いです。しかし、毎回寿司を話題にされては飽きるのも当然ですし、そもそも寿司ネタのことをあれこれ聞いても、たとえば「えんがわ」を知っている外国人はとても少ないのです。
ちなみに、夫は好きなネタを聞かれた時は「マグロ」が鉄板の答えであることを、自ら発見していました。
「なぜ選ばせるの?」
日本の生活にも慣れ、職場の友達とも仲良くなった頃に「日本とバリとどっちが好き?」と質問されたそうです。この質問をするときに期待する答えって「もちろん日本だよ!」ですよね?
しかし、残念ながら、日本に住む外国人がすべてデーブ・スペクターのように日本大好きではないのです。
自国を愛する外国人は多いものですが、そこで「もちろん俺の国だよ」なんて答えたら、相手を傷つけてしまうと、かえって気を使わせているかもしれません。
会話はキャッチボール、自分を喜ばせる質問していない?いかがでしたか?
こうした質問の多くは、「日本を好きになってほしい」「日本をほめてほしい」という、質問者が満足したいがための質問です。ちょっと外国語ができる人なら「日本のことをもっと教えたい」という欲求もあるでしょう。
しかし、会話は講義ではありません。そして、それは外国人と話す時も同じです。
本当のおもてなしというのは、相手を満足させることが目的のはず。どんなに丁寧に対応をしても、自分よがりの会話では相手は喜んでくれません。
外国語なんか話せなくても、相手を気遣うことができる人。それこそが、本当のおもてなし美人ではないでしょうか。
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