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挫折から立ち上がる三様の主人公が魅力! 秋クールドラマ「勝手にベスト3」

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挫折から立ち上がる三様の主人公が魅力! 秋クールドラマ「勝手にベスト3」


2025年最後となる秋クールドラマ、その放送が間もなく終了の時を迎える。今期は全体的に、挫折から立ち上がる主人公たちに背中を押してもらえるような、力強い作品が多かったように思われる。そこで今日は、ドラマニアな筆者がセレクトした振り返り総括「勝手にベスト3」をランキング形式でご紹介していこう。

第1位:“馬”がつなぐ、人と人の絆――そして、夢

毎話目頭が熱くなる展開が魅力の「ザ・ロイヤルファミリー」
本作は、競馬の世界を舞台に、夢を追い続けた熱き大人たちが家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。妻夫木聡さん演じる主人公・栗須栄治は、大手税理士法人に就職したものの、大切な父から目を背けてしまった大きな後悔と挫折を経験。そんな中、馬主である山王耕造(佐藤浩市)との出会いにより、人生が予想していなかった方向へと動き出すことに…。

私がこの作品を通して強く感じたのは、偶然の出会いが人生を左右することの尊さだ。栗須が耕造と巡り合い、その婚外子・耕一(目黒蓮)と共に馬の世界に生涯を懸けることになったのは、まさに運命の一言に尽きるだろう。
競馬が大嫌いだった耕造の家族たち、本来同じ夢を見ることがなかったはずの調教師、牧場主、騎手、記者…。馬への熱い思いが、たくさんの人の心を、そして人生を動かしていく。

また同時に、人と馬のコミュニケーションにも大変運命的なものを感じた。特に、最終話を目前にして失明の危機に陥ってしまったロイヤルファミリーに、獣医が放ったセリフが印象に残っている。「あなたを信じている人がいる。あなたは幸せよ」――人間と動物は、言葉を介して理解し合うことはできないけれど、信頼でつながることはきっと出来る。耕造が生前よく口にしていた「絶対に裏切るな」という言葉と重なって、“信じ合える仲間がいることの強さ”がズシンと深く胸に響いた。

第2位:人生最大の挫折・“別れ”を機に変わり始めた二人

前に進むことの難しさを丁寧に描いた「じゃあ、あんたが作ってみろよ」
家族へのコンプレックスから、「幸せな結婚をする」という目標を掲げて“恋人ファースト”な彼女を演じて生きてきた鮎美(夏帆)と、令和の時代には少し珍しい超・亭主関白思考な勝男(竹内涼真)が、プロポーズをきっかけに破局――料理を通じて、お互いの短所や長所を改めて見つめ直し成長していく、再生ロマンスコメディ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」。
本作が描いた究極の挫折、それは、長年連れ添った恋人との“別れ”だ。男たる者、強く格好良く彼女の三歩先を歩いて行かねばならないと信じて生きてきた勝男は、大失恋を通して、初めて自分の中の価値観を疑い始める。

「全体的におかずが茶色い」「おかずと味噌汁の具がかぶっていて残念」など、彼女の作った食事に意見することが愛だと勘違いしてきたが、「そんなにこだわりが強いなら自分で台所に立ってみたらどうか」という後輩の意見に、目からウロコがこぼれ落ちる。

それからというもの、根が素直な勝男は、対人関係という壁に幾度となくぶつかりながらも精神面で大きな成長を遂げていくのだ。一方の鮎美も、自分ひとりの足で立つという新しい環境に戸惑いながらも、心境に変化が…。全10話を通して自らの過ちに気づいた二人。復縁ではなく、長い時間をかけて、最終回にやっと「終わりにしよう」とお互いが納得する“別れ”に辿り着く展開は、これまで失恋したことのあるすべての人の心に刺さったのではないだろうか。

第3位:“未来”は一体、誰のためにあるのか…?

愛とは何か、世界とは何かを問いかけたドラマ「ちょっとだけエスパー」
会社のお金に手を出してしまったことで、仕事も家庭も失い、人生大きく詰んでしまったサラリーマン・文太(大泉洋)は、新しい会社でエスパーの才能を開花させる薬を飲まされて…。
気がついたら、世界を救う羽目になってしまっていた!第一印象として斬新かつポップなテーマのドラマかと思われた「ちょっとだけエスパー」だったが、物語が進むにつれてそれぞれが抱えている真の問題が浮き彫りになり――最後には涙がこぼれてしまうくらい、胸がぎゅっと締めつけられる作品に仕上がっていた。

もしも、かつて大きく心が折れてしまった出来事をやり直せるチャンスが来たとしたら?転生やタイムリープではなく、AI技術が発展した未来から過去にアクセスするという方法で過去を変えようとする兆(岡田将生)。彼は事あるごとに「これは、世界を救うためなんだ」と口にしていたのだが、終盤、この言葉の真意が「恋人である四季(宮崎あおい)の生きる世界を救うためだ」ということが判明する。そのためならどんな罪をも背負う覚悟の兆だったが、文太と四季の間に芽生えた小さな愛が、予想しなかった“未来”を次々に生み出してしまうことに――。

作中ではジャンクションと呼ばれていたように、人生には分岐点が数多く存在する。すべての選択に自信を持つことは難しいけれど、遡ることが出来ないからこそ、人生は前に進んでいくのだということを本作からしみじみと学ばせてもらった。脚本家・野木亜紀子さんが描く新しい視線のSFラブロマンス、ぜひ見て欲しい一作だ。

以上、今期は、挫折から立ち上がる主人公たちの力強い背中がキラリと光る作品たちがランクイン。
あなたのベスト3とぜひ見比べてみては?次回はおすすめの2026年ドラマをご紹介していく。お楽しみに。

(YUKI)

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