ろう者を取り巻く過酷な現実を監督が取材 “会話の罠”を捉えた『愛がきこえる』本編映像
「EXO」“レイ”としても活躍するチャン・イーシンが耳のきこえない父を演じ、2025年4月に本国(中国)で初登場1位を獲得した『愛がきこえる』が、2026年1月9日(金)より全国公開。この度、ろう者の主人公をめぐる“会話の罠”を捉えた本編映像が到着した。
耳のきこえない父・シャオマー(チャン・イーシン)と、7歳のコーダの娘・ムームー(リー・ルオアン)は、ろう者のコミュニティの仲間たちに見守られながら、楽しく穏やかな日々を過ごしていた。
しかし、5年前にシャオマーと離婚したムームーの母親・シャオジンが、娘に“普通の生活”をさせたいと突然姿を現し、ムームーの親権をめぐり裁判で対峙することになってしまう。
この度解禁となったのは、シャオマーとシャオジンがそれぞれ裁判に向けて弁護士に相談をしているシーン。シャオジンは離婚時に親権をシャオマーに渡しており、それからは彼がムームーを育ててきた。シャオジンは弁護士から「離婚時に渡した親権を取り戻すのは難しいですね」などと説明を受け、表情を曇らせている。
一方、その頃、シャオマーはろう者コミュニティの仲間に紹介してもらい、大手弁護士事務所を訪れていた。
弁護士は「心配するな。虐待などがない限り、判決は覆らない」と、今回のケースは決して難しいものではないことを説明する。しかし、会話を仲介する手話のできる知人の女性が伝えたのは、弁護士の言葉とは正反対の内容だった。
「裁判に勝つのは難しい」――。動揺したシャオマーが「なぜ? ムームーは俺といて幸せだ」と訴えても、彼女は「母親には絶対に勝てない」と嘘を重ね、彼の不安を煽っていく。真実を知らされないまま、シャオマーは悲しげに彼女を見つめるしかない。
このシーンのポイントは、弁護士と女性の会話はシャオマーには理解できず、シャオマーと女性が交わす手話は弁護士には分からない、ということ。
彼女は、シャオマーが手話のできる自分に頼るしかない状況を巧みに利用し、弁護士費用を不当に吊り上げ、シャオマーをお金のために犯罪組織に巻き込む狙いがあったのだ…。
本作の監督は、中国で社会現象を呼び起こしたヒット作『あなたがここにいてほしい』のシャー・モー(沙漠)。
米アカデミー賞作品賞を受賞した『コーダ あいのうた』や、吉沢亮主演・呉美保監督による『ぼくが生きてる、ふたつの世界』と同様に、当事者であるろう者の人々が俳優として多数参加している。現在、中国には約3,000万人ものろう者がいるという。シャー・モー監督は、ろう者をめぐる実態の取材を3年にわたり行い、「ろう者の方々が最も巻き込まれやすいのが、詐欺です。なぜなら、ろう者の方々の多くは素直で純粋だし、情報が届きにくいから。悪意のある人が甘言で騙したり、偽装したりする可能性があるのです」と話し、「手話ができるというだけで、その相手の言っていることを信じてしまうのです」と、ろう者を取り巻く過酷な現実を説明する。
また、監督は取材活動を通じて、ろう者をめぐるこうした現状を多くの人に知ってもらうことを使命のように感じるようになったとも語っている。
シャオマーを演じたチャン・イーシンも志は同じようだ。
彼は撮影前に監督たちとともにろう者のコミュニティーや麻雀店を訪れ、彼らと実際に交流を深めていったという。
監督は「イーシンさんは、”シャオマーが本当に実在しているように見えなければならない”と考えたようです。私がろう者の方々から本作に望むこととして”手話が正確であってほしい”と言われたことがあって、その声を彼に伝えたところ、準備期間の多くを手話の習得に費やしてくれました」と明かす。
チャン・イーシン自身は手話の習得方法について「手話の学び方はいろいろあると思いますが、僕が選んだのは、ろう者の方たちのコミュニティに入っていくことでした。彼らと一緒に暮らし、食事をし、日常を共にし、時にはふざけ合う中で、ろう者同士のユニークで面白いコミュニケーションをたくさん学んだんです」とふり返る。
さらに、「もし可能であれば、本作を通じて多くの方が手話を学んでくれたら本当にいいなと思っています。お互いの世界を理解し合い、僕らの真心を伝えることだってできますよ」とコメントした。
『愛がきこえる』は2026年1月9日(金)より全国にて公開。
©CKF PICTURES (Ningbo) Co., Ltd. / iQIYI Pictures (Beijing) Co., Ltd. / Shanghai Tao Piao Movie & TV Culture Co.,Ltd.
(シネマカフェ編集部)
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愛がきこえる 2026年1月9日より全国にて公開
© CKF PICTURES (Ningbo) Co., Ltd. / iQIYI Pictures (Beijing) Co., Ltd. / Shanghai Tao Piao Movie & TV Culture Co.,Ltd.