江角マキコインタビュー 「大好きだけど大嫌い」女優業への思いを語る
(Photo:cinemacafe.net)
革命を生き抜く女性の本能的な強さに共感
江角さんにとって、実写映画の吹き替えは今回が初めて。劇中では中国の人気女優であるリー・ビンビンが徐宗漢を演じており「すでにビンビンさんの演技や感情がスクリーンの中にある状態なので、最初は私が白紙の状態で、それらをコピーするのが一番かなって。それはそれで大変ですが、(アフレコの)監督さんからもっと自分の感情を出してほしいとご指導いただきました」。求められたのは、徐宗漢の気持ちに寄り添うこと。
それだけに「気持ちが動けば汗もかくし、いつの間にか体全体を使って役柄に入り込んでいた。終わる頃には汗だくで、まさかアフレコでこんなにエネルギーを使うなんて」と身も心も徐宗漢になりきった。
「私自身、映画やドラマでは“強い女性”を求められることが多い」と語る江角さんだが、常に死と隣り合わせにある戦火を生き抜き、愛と義を貫く徐宗漢の姿には、圧倒されたという。「革命という決して自分が望まない環境が、彼女を強くたくましくしている。いまを生きる私たちには想像もつかない忍耐強さですが、女性にはその力が本能的にあると思う」と江角さん。
「きっと、女性は目の前にあるものしか信じられないんですよ。だから環境にもすぐ適応できる。逆に男性は絆や忠誠といった目に見えないものを信じる傾向が強くないですか?女性にそういう面が無いとは言いませんが、そばにいてくれたり、自分を頼りにしてくれる人を求める存在なんですよ、女性って」。
そんな男女がお互いを補い合い、支え合う姿も『1911』をよりドラマティックにする要素になっている。
大好きだけど大嫌いな、女優という仕事
そんな江角さんのキャリアにとって、大きな転換期、すなわち“革命”的なターニングポイントはいつだったのだろうか?「本音を言えばどんなお仕事であれ、いつも『これやったら女優を辞めよう』って思っているんです。『次がある』なんて考えたことないですし、そういう意味では毎回“革命”ですね。私にとって女優という仕事は大好きだけど、大嫌いという存在なんです」。そう語る江角さんにとって、劇中に登場する中国革命の父・孫文の「革命はどんなときでも誰の心にも起こる」という言葉に共鳴するものがあったという。
「他人を変えることは難しくても、自分自身を変えることはできる。20代ってある意味がむしゃらに『こういう自分でありたい』って願望が強かったんですけど、年齢やキャリアを重ねるうちに、そういうものも薄れてしまう。でもせっかく脂が乗ってきたいまだからこそ、変化を恐れちゃいけないとこの作品が教えてくれた。
常に自分の中で小さな革命を起こしていきたいし、ご覧になる方にもそう感じてもらえれば」。
(text/photo:Ryo Uchida)
■関連作品:
1911 2011年11月5日より丸の内TOEI ほか全国にて公開
2011 JACKIE & JJ PRODUCTIONS LTD. All Rights Reserved.
■関連記事:
【TIFFレポート】映画祭開幕!ミラジョヴォら美しき女優陣のファッションに釘づけ
中川翔子“神”ジャッキー・チェンにお願い「不老不死でいて!」
ジャッキー・チェン出演映画100本目!『1911』試写会に20組40名様ご招待
東京国際映画祭を若者にアピール!イケメン3人衆「TIFF BOYS」結成