J・ローレンスだけじゃない、『ウィンターズ・ボーン』影の演技派女優は“地元っ子”
(Photo:cinemacafe.net)
本作で17歳の少女でありながら、苛酷過ぎる環境の中で、家族のためにひとり雄々しく村社会という“掟”に縛られた大人たちと闘う主人公・リーを演じているジェニファー・ローレンス。世界各国の映画祭で絶賛を浴びた彼女だが、本作で名演技をフィルムに焼きつけていた女優は彼女だけではない。そのあまりにも自然な演技と天真爛漫な笑顔で、ジェニファーとはまた違った意味で観る者のハートをわし掴みにしてしまう、妹役のアシュリーもまた隠れた名女優のひとり。
劇中に登場するアシュリーの仕草、表情のどれをとっても「自然」という表現に尽きる。それもそのはず、実は彼女は本作の舞台となるミズーリ州南部のオザーク山脈に住む正真正銘の地元住民なのだ。さらに驚くべきは、劇中に登場するリーが懸命に守ろうとする家は、アシュリーが実際に住む家だそう。
本作で、監督のデブラ・グラニックは物語の舞台を作るのではなく、実際の土地に作品を溶け込ませる演出の一環として、地元住民をキャストに起用するという方法をとっており、アシュリー以外にもこの土地の地元住民が数々出演しているのだ。
今回届いた映像では、アシュリーが犬にエサを与えるシーンでデブラ監督が演出している様子が映し出されるのだが、その光景は何とも不思議。監督からの細かい指示はほとんどなく、そのシーンで歩くコースをアシュリーと一緒に歩くだけ。ほかにも、トランポリンで遊ぶシーンの撮影風景も収められているが、ただただ無邪気に可愛い笑顔を振りまきながら遊んでいるだけにしか見えず、その後に映し出されるあまりの“自然”な演技からも、まるでホームビデオを見ているかのような錯覚に陥る。
その土地で生きてきた呼吸、仕草がそのまま収められた映像となっており、どんな苦境にあってもこの笑顔のためならと、17歳の少女を奮い立たせた最大の希望だったことがうかがい知れる。デブラ監督がこだわった“自然”というキーワードがここに――。劇場に足を運ぶ前に見れば、さらに感情移入できるはず?
『ウィンターズ・ボーン』はTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開中。
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■関連作品:
ウィンターズ・ボーン 2011年10月29日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開
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