ベネット・ミラー監督インタビュー 『マネーボール』で描きたかった“真髄”とは?
その場合、実際に彼が何をしたかの詳細を辿ることが重要なのではなく、彼がどんな動機によって動かされたか?そして、その人物が成し遂げた事柄そのものをたどっていくことが重要なんだ」。
主人公とブラッド・ピットの共通点とは?
2005年に『カポーティ』が公開されると、映画の中で描かれているようなことが実際に起きたのか?という議論が巻き起こった。そのときの出来事が監督にその思いをいっそう強くさせたという。
「あのとき、『アラバマ物語』の著者であるハーパー・リー(※作家でカポーティの幼なじみ。カポーティの取材に同行しており、映画『カポーティ』にも登場する)から手紙が届いたんだ。手紙には『作品の中の出来事は加工されているかもしれないが、それは映画を作る過程でのことであり映画はカポーティの真実を語っている』とあった。映画にも登場している人物からの言葉として、これ以上のほめ言葉はなかったよ」。
翻って『マネーボール』。
かつて超高校級のスター選手として将来を嘱望された10代、選手として大成することなく挫折を味わった20代の若き日々を織り交ぜつつ描き出される“人間”ビリー・ビーン。短気で負けず嫌いで情熱的かつナイーブなGM、そしてひとりの父親をブラッド・ピットは魅力的に演じ上げる。