くらし情報『加瀬亮、映画への“愛”「10年前の僕と今の僕。等身大の自分から始めるしかない」』

加瀬亮、映画への“愛”「10年前の僕と今の僕。等身大の自分から始めるしかない」

人ではないので(笑)、ベタなラブストーリーにはならないだろうなとは思っていたんですが、生きている人と同次元で幽霊を扱っているところは、さすがというか、監督らしいというか。ほかの映画でもあまり見たことがない、独特の設定ですよね。ほかの若い監督がこの映画を撮ったら、もっとドラマチックに描いて、きっとイタい映画になっていたと思う(苦笑)」。

難病もの、生と死、恋愛…わざとらしい感傷映画に陥りやすいテーマであるのに、そこにたどり着かないのがガス・ヴァン・サント監督らしさ。なんとも言えない優しい気持ちが観客の心に流れるはず。それは監督自身が持っている優しさでもあり──「優しいけれど、ただ単純に優しいんじゃなく、いろいろなものを見て絶望を引き受けたうえでの優しさなんです。たとえば、『マイ・プライベート・アイダホ』は、最後ひどい目にあって路上で倒れているけれど、それでもニコちゃんマークが浮かび上がる、ああいう感じって心に突き刺さるんですよね。『永遠の僕たち』もそうですが、インディペンデントというか、パーソナルな部分から始まって最終的にパーソナルなところに届く、そういう作品が僕自身とても好きです」と語る加瀬さんの表情ももちろん優しい。

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