「僕に一番期待しているのは僕自身」 テイラー・キッチュが語る、自らの“資質”
(Photo:cinemacafe.net)
“ポストジョニー・デップ”、“ハリウッドに久々に現れた新星”などと周囲の期待の声は高まる一方だが、テイラーは華やかなハリウッドの喧騒、スポットライトと距離を置くようにロスやニューヨークといった大都会ではなく南部の田舎に居を構えている。とはいえ、周囲の期待から逃げているわけではなく、むしろそうした声を正面から受け止めている。
「何より、僕に対して一番期待をしているのは僕自身だからね。ただ、シンプルさを保つということは大切にしているよ。いまは幸いなことにベストな人々と仕事をさせてもらってるし、この状態を続けていきたいと思ってるよ」。
生まれ故郷のカナダではアイスホッケーの選手として活躍するもケガもあって挫折。その後、演技を学ぶためにニューヨークへと移った。いまでこそ引く手あまたの活躍を見せるが、20代前半の下積みの時代にはかなりの苦労を味わった。自らを「頑固なタイプ」と分析し「その資質がつらい下積みの状況で幸いしたと思う」とふり返る。
「どうして演技に興味を持ったのかは自分でもよく分からないな。でも役を演じること、物語を伝えるということで本当に自分が満たされるんだ。それができるのならどんなことでもやるという意志は当時から持っていたよ。あの頃はすごく生意気だったから『オール・オア・ナッシング』、のるか反るかっていう気持ちも強かった。
演技を勉強するのに最善の場所に来たからには、自分のやれるベストを尽くそうという思いだったし、それがあったからいまの僕があるんだ」。
本作の主人公ジョン・カーターはかつて家族を失った傷を抱える男。アクション映画の主人公でありながら、従来のヒーローらしからぬ複雑な内面をテイラーは見事に体現しているが、こうした役柄を演じる楽しさについて語る。「ジョン・カーターだけでなく、(出世作となったドラマ)『Friday Night Lights』の役にせよ『バンバン・クラブ −真実の戦場−』(’10)のケヴィン・カーターにしろ、心に傷を抱えた人間を演じる中で、多くの“発見”があるんだ。役にアプローチする上で自分自身を探っていくという作業が必要なんだけど、その過程で自分の中に同じような要素を見つけることがある。それはある意味で(傷を持ったキャラクターに対する)治療のようなものなんだ」。
ではこれから演じてみたいキャラクターは?
「そうだな…今回の『ジョン・カーター』ではほんの少しだけど西部劇の雰囲気を味わうことができたから、今度は本格的な西部劇に出てみたいね。次の作品(※オリヴァー・ストーン監督作『Savages』)ではネイビーシールズ(海軍特殊部隊)の実在した方を演じているんだけど、素晴らしい経験で光栄なことだったよ。
僕は常にオープンでいるから、新しい監督、作品、役柄にどんどん出会っていきたいね」。
劇中で披露している、1年近くのトレーニングと食事制限によって作り上げた肉体に話題が及ぶと「特殊効果だよ(笑)」とおどけ、最も苦労したシーンは?という問いには、激しいアクションシーンや複雑な内面の描写に関する答えが返ってくるかと思いきや「誰もいないところで、群衆がいるという想像しながらスピーチしたシーンかな」という答えが…。どうやら次代のハリウッドを背負う新星は照れ屋のようだ。
(photo/text:Naoki Kurozu)
特集:『ジョン・カーター』“胸きゅん”ポイント、徹底検証!
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ジョン・カーター 2012年4月13日より全国にて公開
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