新藤兼人監督、教え子やスタッフの涙と祈りに見送られ旅立つ
(Photo:cinemacafe.net)
5月29日(火)に老衰のため逝去した新藤兼人監督(享年100歳)の通夜と告別式が6月2日(土)と3日(日)に増上寺(東京・芝公園)にて行われ、監督の作品に出演した俳優陣や後進の映画監督など多くの映画関係者が参列した。
増上寺の光摂殿に設置されたやや丸みを帯びたシルエットの祭壇は、監督の代表作『裸の島』の舞台である広島県・三原市の宿祢島(すくねじま)をイメージしたもの。その中央に飾られた遺影は遺作となった『一枚のハガキ』の撮影現場でのワンショットで、会場には今年1月に亡くなった音楽家の林光さんの手による『一枚のハガキ』ほか、数々の新藤作品を彩った音楽が流された。
2日(土)の通夜で弔辞に立ったのは『午後の遺言状』、『墨東綺譚』など数多くの作品に出演した津川雅彦。「僕の最後のラブレター」と語るこの弔辞で、津川さんは先日、監督が亡くなった直後に送った「おめでとう」という言葉を撤回。死の直前まで監督がうわごとで映画の撮影の話をしていたということに触れ「先生の執念に参りました!降参です」と語り、「先生、愛してます」と思いをストレートに伝えた。『墨東綺譚』撮影中に80歳の誕生日を迎えたが、それ以来、監督は新作を撮るごとに「これが最後」