【シネマモード】初めて見るイラン 『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』
その様子は、サトラピ監督が2000年に発表した自伝的コミック「ペルセポリス」でも語られています。30か国語に翻訳される世界的ベストセラーとなった『ペルセポリス』は、同作を原作としたアニメーション映画でもカンヌ映画祭部門賞を獲得しているので、映画ファンの中には観た方も、覚えている方も多いでしょう。映画『ペルセポリス』では、若い頃、サトラピ監督がイスラムの風習に従うことを拒み、反抗を繰り返す様子が描かれています。ファッションが自分を表現するひとつの手法であることを当然だと思っている私たちには、かなり異様なエピソードばかり。1979年以降のイランを描けば、服装の制限は自動的に事実として付きまとってしまうのです。でも、『チキンとプラム~』では、ファッションに自由と喜びがあった頃のテヘランが見られます。レースやリボン、花柄を用いたアイテムに、色を重ねたレイヤードファッションは、ファッショナブルでとっても優雅。ナセル・アリの恋物語も、エレガントなファションに包まれて、より普遍的な華やかさを帯びています。
そして、主人公も“恋の国”の言葉、フランス語で話していることで、その性格はより強まっているのです。