阿部寛インタビュー 変化を求めてさすらう男、その役者道に「カッコよさは必要ない」
(Photo:cinemacafe.net)
「恥をかくことがすごく楽しい」——。駆け出しの若手俳優の言葉ではない。今年公開される3本の出演映画は全て主演で、いくつものCMを抱え、放送中のドラマ「ゴーイング マイ ホーム」でも堂々の主演を務めている阿部寛、50歳まで2年を切っての発言である。最も恐れることは「役者として防衛本能が沸いて、守りに入ってしまうこと」とも。その言葉通り、『麒麟の翼~劇場版・新参者~』でドラマに続いてクールで頭脳明晰な刑事・加賀恭一郎を演じたかと思えば、続く『テルマエ・ロマエ』では時代と人種を越えて古代ローマ人役で尻までさらす。そして、このほど公開を迎えた『カラスの親指』では哀しい過去を抱えた中年の詐欺師役に扮している。常に変化を求め、新たな自分を作り上げたと思ったらまた壊すという作業を繰り返すこの男、何を求めてカメラの前に立つのか?
原作は直木賞作家・道尾秀介が2009年に発表し、「日本推理作家協会賞」に輝いた本格ミステリー小説。「何本も映画の仕事をやって来た中で、これまでにない佇まいというか、大きなスクリーンの中で落ち着いてただそこにいる自分を見つけられた。