くらし情報『新海誠監督インタビュー 「万葉集」と“雨”の歌から生まれた、「これは雨宿りの映画」』

新海誠監督インタビュー 「万葉集」と“雨”の歌から生まれた、「これは雨宿りの映画」

当たり前ですが、最初に表現したい感情やシチュエーションがあって、それをどう描くかを考え、取材をしたり、一番しっくりと来る比喩やセリフを探したりしています」。

人物の表情から風景、セリフに至るまで、これほど情緒豊かに描きながらも、作っている当人は“論理”や“理屈”を重視する。自身の感情や共感を反映させ、人物に寄り添うことがないわけではないが、一方で時に登場人物の感情の起伏をグラフにし、パズルのように組み立てていくこともあるとか。こうした姿勢の理由のひとつは、彼が生粋のアニメーターの道を経ずに“監督”となったことにあると言えそうだ。

「そうかもしれません。宮崎駿さんのようにご自身が優秀なアニメーターである監督もいらっしゃいますが僕はどうやってもそうはなれない。ならば違う部分――自分で考えて、言葉でそれをスタッフに伝える必要があるんです。やっぱり、自分の中に理屈のないあやふやな状態で、スタッフに説得力をもって描かせることはできないですから」。
論理を武器とした“非アニメーター監督”の矜持。そんな彼が、ファンの間で“新海節”とも称される、文学的な感性にあふれた自身の作品の世界観を特徴づける要素として重視していることが3つある。

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