誰もがみんな子どもだった…家族を思い童心に返る映画『天才スピヴェット』ほか
(Photo:cinemacafe.net)
あまりに当たり前すぎると、その存在の大切さに気づけなくなってしまうものがある。例えば、家族。少しずつ寒さが深まり、ますます人肌恋しくなるこの季節、当たり前のようにそばにいてくれる家族の顔がふと思い浮かび、誰もがかつて過ごした子ども時代を思い起こさせてくれる映画が、いま続々と公開中だ。
まずは、『アメリ』で知られるフランスの鬼才ジャン=ポール・ジュネ監督が「まさに僕そのもの」と言うほど自分自身を重ね合わせて描いたという『天才スピヴェット』。
モンタナ州の農場に暮らす10才の天才少年スピヴェットは、ある日、突然の事故で双子の弟を亡くしてしまう。遅れてきたカウボーイのような父は、活発な弟のほうが好きだった。そして、昆虫学者の母親は研究に没頭し、姉はアイドルになることを夢見ている。
そんな中、スピヴェットが応募したある発明が米国スミソニアン学術協会の権威ある科学賞を受賞。
彼は、ワシントンDCで開かれる授賞式に出席するべく、家出を決意。アメリカ大陸を横断する貨物列車に、たった1人で飛び乗る…。
ジュネ監督独特の愛らしいブラックユーモアとポップアップ絵本のような遊び心たっぷりの3D映像で描かれているのは、愛する者を失い、家族の心にポッカリと空いた穴を、1人の少年の壮大な家出を通じて埋めていく物語。