【インタビュー/前編】「NARUTO-ナルト-」原作者・岸本斉史が語る 忍の世界の設計図
一方で禁術“穢土転生”によって、死んだはずの人物が再び現世に姿を現すことも…。
「やはり、バトル漫画なので『死ぬ』ということから逃げずにしっかりと描いていこうとは決めていました。死ぬべき時は無理をせずにそうしようと。時には読者から『もしカカシを殺したら…』なんて手紙が来ることもありました。ただ『ペイン編』以降、重要なストーリー上の問題として、ナルトが敵を“自分と同じ人間”として捉えて、ただ殴って殺して決着をつけるのとは違うやり方を探すようになった。『分かり合える』と信じているナルトが単に相手を殺すことは出来ないので、そこで“穢土転生”という本来死んだはずの人間をゾンビのように復活させるというある種の荒行が出てきたんです。僕の中で穢土転生は『生き返る』のではなく、あくまで死んでいるキャラクターなんです」。
死んでいく人間が“想い”を生きている者に託すからこそ、それぞれのキャラクターの死に重みが生まれる。
例えば、終盤の「第四次忍界大戦」のさなか、先述の人気キャラのひとり、ネジが死を迎えるが、その描写は意外なほどあっさりしている。一方で残されたナルトたちはネジの存在を心に留めて戦い続ける。