【インタビュー】窪田正孝 真性・カメレオン俳優の理想「芝居をしないでそこにいる」
黒崎を演じる上で、ST内での彼の役割やポジションを鑑みつつ「少し引いた視点で全体を見るように意識していた」と語るが、それは実は本作での役作りに限らず、窪田さん自身の生き方、他人との接し方、仕事への向き合い方にも重なっているように思える。
その思いを強くしたのは最後の質問――「ライバル、尊敬、憧れ、刺激…どのような視点でもいいので、いま特に意識している俳優は?」という問いへの答えと理由を語った時だ。窪田さんが名を挙げたのは「Nのために」で共演した女優・榮倉奈々だった。
「直近の作品で一番近くで見ていたからというのもありますが、榮倉さんのお芝居ってすごく繊細なんです。何て言えばいいのか…主演として周りの役者の芝居を受け止めて、リアクションしていかなくてはいけない中で、感情の見せ方が本当に繊細で丁寧で自然でした。まさに『演じていないことを演じている』『素の自分を演じている』という感じで、もしかしたらそれは、僕が理想としてそうあるべきと感じているものと同じなのかもなと。僕自身がそう勝手に感じていただけで、言葉にしてしまうと壊れてしまうような気がして、ご本人とはそうした話は全くしてはないんですが…。