【インタビュー】高良健吾 命を見つめた10年 幾多の“死”を乗り越え、永遠を刻みつける
(Photo:cinemacafe.net)
まるで絵本の「100万回生きたねこ」である。死んでは生まれ変わり、違う人生を歩む猫。作品ごとに全く違う人物の人生を生きる役者の仕事は、それと似ているかもしれない。演じている役柄が死を迎えることは何も珍しいことではない。それにしても、高良健吾が10年のキャリアの中で、役柄を通じて向き合った「死」の数は、同世代の俳優と比べても群を抜いている。特にキャリア前半、死の影を感じさせない作品の方が少ないくらいだ。
「殺されたやつもいるし、自分で死を選んだやつ、寿命の場合もあれば、事故で死ぬこともありました。ひとつとして、同じ死はなかったですね」。
ひとりひとりが違う人生を生き、違う死を迎える。生真面目であるがゆえに、演技とは言え、死と向き合うたびに心をすり減らした。
「なんでこんなに考えなきゃいけないんだろう?という思いはありました。役のおかげで成長できること、気づくことはたくさんあったけれど、同時に役のせいで人を殺す時の気持ちや、自ら死を選ぶ気持ちについて考えなくちゃいけなくて…。周りからは、そういう役を羨ましがられることも多かったけれど、それがすごくイヤで『じゃあ、やってくれよ!』と思うこともありました」。