【シネマ羅針盤】御歳84歳、イーストウッド監督“傑作量産”のナゼ?
(Photo:cinemacafe.net)
「映画づくりで大切にしているのは、常に正直であること。そしてドラマに込めた真実だ」。クリント・イーストウッドが来日し、映画監督としてのポリシーを語ったのは、いわゆる“硫黄島2部作”を完成させた2006年11月のこと。ご承知の通り、その言葉はいまも健在だ。
当時のイーストウッド監督は『ミスティック・リバー』(’03)で称賛を浴び、『ミリオンダラー・ベイビー』(’04)で2度目となるアカデミー賞「作品賞」&「監督賞」を受賞。「ついにキャリアの到達点を迎えた」と称えられ、『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』は「集大成」だと絶賛された。ところがイーストウッド監督は、その後もペースを落とすどころか、次々と傑作を世に送り出している。もはや“量産”という言葉がふさわしいほどだ。
『チェンジリング』『グラン・トリノ』『インビクタス負けざる者たち』『ヒアアフター』『J・エドガー』…この数年でイーストウッド監督がメガホンをとった作品群は、ジャンルもテーマも同一監督とは思えない多彩ぶりだ。さらに2014年、『ジャージー・ボーイズ』『アメリカン・スナイパー』という2本の傑作を一気に“撮ってしまう”驚異の生産性を見せつけられると、感動や尊敬以上に「ナゼ?」