【シネマ羅針盤】主演に新人女優、主題歌「U2」…『ソロモンの偽証』2部作は松竹の“勇気”
(Photo:cinemacafe.net)
ベストセラー作家・宮部みゆきが集大成として構想15年、執筆に9年を費やしたミステリー巨編を2部作で映画化した『ソロモンの偽証 前篇・事件』が3月7日(土)、『ソロモンの偽証 後篇・裁判』が4月11日(土)から全国で封切られる。
クリスマスの朝に起こった同級生の転落事故をきっかけに、目撃者を名乗る匿名の告発状や、別の同級生の死亡事故などが巻き起こるなか、第一発見者である中学2年生・藤野涼子は、学校内裁判を開廷させる。真実を追求しようとしない教師や保護者、無責任な報道を過熱させるマスコミといった大人たちに反旗を翻す、いわば14歳の“勇気”を描いた本2部作は、そのまま製作サイドの“勇気”なしには実現しなかったプロジェクトといえる。
邦画業界で人気コミックを「2部作で映画化」するのは、いまや珍しいことではなく、興行的に成功したものも、失敗したものもある。どちらにせよ「原作」と「主演俳優」の知名度は最低限の担保として必要で、『ソロモンの偽証』に関しても原作の知名度は申し分ない。ただ、コミックとは違い、衝撃的な事件とその背景にある人間関係の複雑さを重厚なタッチで記したミステリー小説を、2部作のエンタメ映画として映像化するのは簡単ではない。