【シネマモード】悲劇的な現実でも“爽やか”に感じる理由『博士と彼女のセオリー』
(Photo:cinemacafe.net)
車いすの天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士と、その最愛の女性ジェーンとの愛を描いた映画『博士と彼女のセオリー』。彼らの間に芽生えた唯一無二のラブ・ストーリーはもちろん、博士を全身全霊で演じきったエディ・レッドメインがアカデミー賞主演男優賞を獲得したことでも話題です。あまりにそっくりな様子に、受賞に納得する方も多いのではないでしょうか。
物語は二人が出会った1963年からスタート。変わり者のスティーヴンと、詩を愛するジェーンはパーティで意気投合し、すぐ恋に落ちました。学生時代からその鋭いひらめきで教授たちを驚かせていたスティーヴンでしたが、在学中にALSを発症。残酷にも余命宣告を受けてしまいます。一緒に居られる時間は短いと覚悟しながら、共に人生を歩むと決めたジェーンとスティーヴン。
現在に至るまで続く、彼らの愛と覚悟の物語が綴られていくのですが、本作の魅力のひとつは感傷的すぎないこと。二人の間には、想像を絶するほどの困難があったはずなのですが、単なる同情や安っぽい憐みを引く様な描写は一切排し、厳しい状況の中でも、彼らなりの愛を貫く姿に焦点を当てているのです。