【インタビュー】<前編>北野武×藤竜也 笑いの天才の覚悟 vs 非コメディ俳優の矜持
(Photo:cinemacafe.net)
「お笑いはおれにとっては本職だから、一番神経使うところだね。『つまんない』ってなったら“コメディアン”、“芸人”としてのキャリアが全部否定されちゃう可能性だってあるんだから」。
自虐と毒舌を交えた、この男なりの照れ隠しの口調の中にふと一瞬、本音とこの新作に対する強い覚悟、そして自信が顔をのぞかせた。
北野武監督の監督作17作目となる『龍三と七人の子分たち』はぞろぞろと(元)ヤクザたちが登場するが、決してヤクザ映画ではない。大人…いや、ジジイたちが大暴れする娯楽映画である。そんな、北野作品としては稀なる「笑い」を全面に押し出した本作で、主人公の龍三役を演じるのは、コメディのイメージが強いとは言えない藤竜也である。「俺たちに明日なんかいらない!!」は本作のキャッチコピーだが、明日なきジジイたちは、いったい何に向かって銃を撃つのか?北野監督、藤さんにたっぷりと話を聞いた。
極道の道を引退し、息子夫婦の家で隠居生活を送るも、世知辛い世の中に「義理も人情もあったもんじゃねぇ」と嘆く龍三。
ある日、オレオレ詐欺に遭遇したことで、元暴走族の若者たちによる「京浜連合」