【シネマモード】ウディ・アレンが仕掛ける“マジック”は1920年代ファッション?
本作では、エマが演じる占い師は、決して裕福な家の出身ではありませんが、ヨーロッパの名家の人々から信頼され、多くの相談を受けていますし、特別待遇を受けていますから、毎日のように豪華な服に身を包んでいても不思議ではありません。
柔らかなシフォンやシルク素材のローウエストなドレスに、ビーズやコサージュ、リボン、レースをあしらったファッションで登場。この時代は、帽子やヘアバンドといった小物も欠かせません。パンツやマスキュリンな女性ファッションがまだ普及していませんから、バリエーションとしてはそれほど多くなさそうですが、イエロー、ピンク、ホワイト、グリーンといった明るい色、透け感のある軽やかな素材を用いて若々しさを演出しているのが見事です。
衣装を担当したのが、スペインのナショナル・バレエでモリエール、シェイクスピア、セルバンテスなどの舞台デザインを10年間手がけた実力派ソニア・グランデ(ウディとはもう4作目)ですから、この華やかさも納得なのです。
監督ご本人は、だぶだぶシャツに、タック入りのゆったりパンツ、タートオプティカルの黒縁眼鏡という変わらぬスアイルを貫いています。流行を感じさせないアレン流がトレードマークで、素晴らしくおしゃれな人という印象ではありませんが、ひとたび映画を作るとなると、トレンドを取り入れ、世相、キャスト、そしてファッションにまでおしゃれ感が満載。