【シネマモード】“孤独感”を演出するのは60年代のインテリアたち『追憶と、踊りながら』
(Photo:cinemacafe.net)
最愛の息子カイの来訪を、心待ちにしているカンボジア系中国人のジュン。ロンドンにある介護老人ホームで暮らしていますが、英語ができずに1人寂しい時間を送っています。
唯一の楽しみは、カイと過ごすひと時。自慢のひとり息子と一緒に暮らしたいものの、それを阻んでいるのは、彼と一緒に暮らしている友人リチャードの存在。3人で暮らすには、いまのフラットは手狭だからと母に伝えているカイですが、実はリチャードは友人ではなく、恋人なのです。いつかは、3人で暮らしたい。そのためには、自分がゲイであることを伝える必要が。母に告白したいと悩むうち、悲劇が息子を襲います。
愛するカイの思いを知るリチャードは彼の代わりに、言葉の通じないジュンの面倒を見ようと、友人を装ったままホームを訪れるのですが、息子との同居を難しくしてきた彼をジュンは好きになれず…。
愛する人を失ったという大きな悲しみを共有しているにも関わらず、なかなか分かり合えないリチャードとジュンを描いた『追憶と、踊りながら』。英語と中国語という言葉の問題だけでなく、文化、世代、そして感情に阻まれた二人は、愛する者がかつて望んだように、分かり合える日が来るのでしょうか。