【シネマVOYAGE】建物が語りかける不思議体験…『もしも建物が話せたら』
(Photo:cinemacafe.net)
建物のドキュメンタリーというと、その建物はどうやって出来たのかとか、有名な建築家について語られているとか、でもこのジャンルにそれほど興味を持っていない人にとっては残念ながら眠くなってしまうものが多い…かもしれません。
そんな中、とても面白い映画と出会いました。『もしも建物が話せたら』は6つの建築についてのオムニバス・ドキュメンタリー。「面白い」理由は6つの建物を“擬人化”していることです。その建物がどれだけ素晴らしいか、どれだけ美しいか、どんなきっかけで立てられたのか、どんな人がそこに生きているのか──を建物“自体”が語りかけてくる。とても不思議な体験です。この映画はトータルで165分ありますが、眠くなるどころかもの凄い興味を抱かせてもらいました。
6つの作品で取り上げている建物の種類も国も監督も異なる、そういう面白さもあります。
最初に登場するのはドイツの「ベルリン・フィルハーモニー」(ヴィム・ヴェンダース監督)。大ホールでの演奏シーンももちろん描かれますが、それもやはり建物から見た描かれ方。この1つ目の作品によって観客は、もしかすると本当に建物には意思があって、人間と同じように何かを感じて生きているんじゃないかと思わせてくれる。