【シネマ羅針盤】密林を駆け抜け、映画は新たな次元へ!「実写」の概念を覆す『ジャングル・ブック』
動物たちの楽園を描いた『ズートピア』がここ日本でも爆発的なヒットを記録するディズニー映画だが、その勢いは衰えを知らず、この夏も『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(7月1日公開)、『ファインディング・ドリー』(7月16日公開)と注目作が目白押しだ。
そんな強力ラインナップに加えてもう1本、すでに全米で一大旋風を巻き起こしている話題作が日本上陸を果たす。1966年に他界したウォルト・ディズニーが生前最後に手がけたアニメーション作品を、50年の時を経て実写化した『ジャングル・ブック』である。公開は8月11日(木・祝)と少し先だが、興奮と感動が覚めやらぬうちに、その魅力を紹介したい。密林を駆け抜け、映画は新たな次元へ。そう宣言したくなる極上のエンタメ大作だ。
物語は至ってシンプル。ジャングルに取り残された人間の赤ん坊モーグリが、親代わりの動物たちと冒険を繰り広げるクラシカルな成長物語だが、そこに輝く命を吹き込む最先端の映像技術がすさまじ過ぎる。
すでに予告編が解禁され、大きな話題を集めているが、主人公の少年モーグリ以外、動物も自然もすべてがCGで表現されているのだから、「すさまじい」を超えて「ちょっと引く…」ほどである。まさに実写の概念を覆す映像体験なのだ。
かつて『アバター』がそうであったように、本作もまた「鑑賞する」というよりは「体感する」というイメージが近い作品だ。同じ動物たちの楽園を舞台にした『ズートピア』に、現代社会における多様性という明確なメッセージ性があったのに比べると、「食い足りない」と感じる目の肥えた映画ファンもいるかもしれない。ただし『ジャングル・ブック』は決して浅い作品ではなく、むしろジャングルのような奥深さを秘めた人間ドラマである。
重要なのは、たとえCGによって動物たちや大自然に生命力が吹き込まれたとしても、スクリーンの中で最も笑い、泣き、悩み、戦い、躍動しているのが唯一の人間キャラクターであるモーグリだという点。人間であるがゆえに、自分がジャングルの微妙なバランスを壊しかねないと少年の葛藤を通して、漠然と、しかし誰もが一度は考える「生きるとは?」という問いを投げかけており、67年版のアニメとは一味違う結末も深い余韻を残している。
現在、ディズニーは『王さまの剣』『美女と野獣』『ムーラン』『ダンボ』『クマのプーさん』『ティンカー・ベル』『ファンタジア』と数々の実写化プロジェクトを控えている。
その試金石として、『ジャングル・ブック』の成功は大きな意味をもつと同時に、後に続く作品への大いなるプレッシャーにもなるはず。さらに力強い演出力を発揮したジョン・ファブロー監督が続投し、本作の続編も検討されているというから期待は膨らむばかりである。
(text:Ryo Uchida)
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