【インタビュー】鈴木敏夫「面白い作品をつくっていきたい」10年越し企画『レッドタートル ある島の物語』

スタジオジブリ待望の最新作『レッドタートル ある島の物語』は同スタジオにとって、初の海外共同制作。米アカデミー賞短編アニメーション映画賞に輝いた『岸辺のふたり』にほれ込んだ鈴木敏夫氏が、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督に長編制作をオファーしたのは10年前のことだ。
長編制作の経験がないヴィット監督は「尊敬する高畑勲監督から助言を受けること」を条件にオファーを快諾。「人生最大の感激でした。私自身は短編アニメーションを独立したアートだと捉えていました。これまでに長編の話はほかからもありましたが、ジブリだからこそ、一緒に長編を作りたいと思ったのです」(ヴィット監督)
シナリオや絵コンテ作り、効果音や音楽に至るまでジブリ側との濃密な打ち合わせを経て制作を進めていき「結果的には高畑さんの『かぐや姫の物語』がもつ8年という記録を更新して(笑)、10年かかりましたけど。僕は待つのは苦ではない。週刊誌出身の人間だから、長い時間をかける映画に憧れていましたし」(鈴木氏)
2010年にはヴィット監督が来日し、小金井市のスタジオジブリ近くに部屋を借りた。
約4週間の滞在で、高畑氏と直接やりとりを交わし、作品の世界観を深めていったのだ。