2016年9月21日 21:00
【インタビュー】オダギリジョー、30代最後の作品 人間臭さを深め40代のステージへ
気づくには気づくんでしょう、僕は(笑)。気付かないところもいっぱいあるんでしょうけれど。いままで女性がなぜ怒っているのかわからないこともいっぱいあったし。ただ、こういう返事をしたらずるいよなと思いながら、そう返事するということもいままでいっぱいあった。そういうことがいまになって活かせるのかもしれません。きっと相手のリアクション、相手の気持ちみたいなものを、注意して感じようとして育ったからかな。いい子でいたかった子どもって、相手の出かたとか、距離感とかすごく測る。きっと自分もそういうところから、人との関係性の構築の仕方を始めているような気がしています。
僕も、いい子でいたいタイプの子どもでしたね。母と2人きりだったし、ちゃんとしなさいと言われ続けて育ちましたから」。
劇中、白岩は幾度も“自分は最低な人間なんだ”と笑いながら言い、それを言いわけにして人間関係から逃げている。いまいる場所から、どうしても飛び立てないもどかしさに、絶望しているかのように。「人との距離を保っておくのが一番楽なんですよね。そうやって予防線を張ることで、傷つけ合わずにすむから」。本作では、傷つくのが嫌で人と距離を保っていた白岩が、容赦なく心に入り込んで来る聡というまっすぐな女性との出会いによって、何かを乗り越えていく様に、ある種の爽快さが感じられる。