2016年9月25日 21:00
【シネマモード】ジェレミー・アイアンズが、愛するものに遺したいもの『ある天文学者の恋文』
そんな彼がエドのように、愛するものに遺したいものとは。
「幸せな思い出。僕が彼らを愛したという変えがたい事実だね」。あくまでも物質的なものではなく、いつまでも色あせない想いというものが、一番の宝物なのですね。
本作で亡きエドワードがエイミーに恋文を送り続ける際、時代性を色濃く反映するかのように、現代的なツールが大活躍します。かつては言葉のみだった愛の告白が、紙という大発明によりラブレターとなり、電話、メール、オンライン通話などと、手法の選択肢を広げていったことを考えると、世の中の進化も実感。そこには、愛するという感情は変わらなくても、時代によって表現方法や届ける手段は変わっても、そこに乗せられる感情は、古代から変わることが無いという監督の熱い想いが込められているようにも思えるのです。
「エドは今できる方法でコミュニケーションをとっている。
それが彼に与えられた唯一の手段だったんだ。この映画はコミュニケーションとは何か、それが、僕が生まれてから現在に至るまでの間にどのように変化したかについての映画でもあると思うよ」。
今、この時代だからできる愛の告白。今という時代が、この作品のロマンチシズムを大いに盛り上げ、この物語を作り上げているといっても過言ではありません。