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【インタビュー】千葉雄大 悩みながらも歩み続けて7年…「求められていることを全うする」

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【インタビュー】千葉雄大 悩みながらも歩み続けて7年…「求められていることを全うする」

千葉雄大と言えば、ドSキャラ、ののしり王子、ヌクメン…演じる役ごとに女性の心をつかんできた俳優だ。新作『暗黒女子』では「こういう役をいただけるというのは、少し大人になったのかなと思いました」と語るように、これまでとはちょっと違う大人の男、一途にひとりの女性を愛するミステリアスな教師・北条を演じている。

物語の舞台は、セレブ女子高生が通う聖母マリア女子高等学院。全校生徒が憧れる美少女が謎の死を遂げ、自殺か他殺なのかを5つの視点で解き明かしていくミステリー。清水富美加、飯豊まりえ、清野菜名、平祐奈、玉城ティナ、小島梨里杏など、注目の若手女優の共演も話題だ。

女優に囲まれる撮影現場となった千葉さんは男子校出身。女性ばかりの世界はどう見えたのだろう。

「男子校はわりとサバサバしていて自由ですが、女子校は気を遣うことが多かったです。
この、映画『暗黒女子』はエンターテインメントとして観るととても面白いですが、そのなかには女性同士のマウンティングなどリアルな部分も描かれていると聞いて、怖くなりましたね(苦笑)」。

千葉雄大/『暗黒女子』(C)2017「暗黒女子」製作委員会(C)秋吉理香子/双葉社
千葉さんの演じる北条先生は文学サークルの顧問にして、いつみと秘密の関係を持っているキャラクター。

「僕が捉えた北条先生像はとてもシンプルでした。女子生徒に人気のある先生ではないので目立たなくて、文系で、引っ込み思案で、第一印象は冷たく見えるような教師です。そんな北条のことを、聖母マリア女子高等学院のカーストの一番上にいるいつみが選んでくれた、彼女に見初められた男でもあります。なので、北条にとって一番大事なのはいつみで、いつみだけを思っている。そのシンプルな感情をミステリアスに映し出せたらいいなと思って演じていました」。

耶雲哉治監督からは「うぶな感じ、いつみとの差、キスシーンを美しく」というアドバイスをもらったそうで、「今回のような刺激的なシーンを演じた経験はあまりなかったので、緊張しました」と語る。
観たことのない千葉さんを目にするドキドキの瞬間だ。
この映画の原作は、秋吉理香子の同名小説。読んだ後にイヤな気持ちになるのにクセになるミステリー、通称“イヤミス”のジャンルで注目を集めている。完成した映画を観た千葉さんも「気持ちいいほどイヤな気持ちになりました」と、そのイヤミス度を保証するように、女のうそ、罠、騙し合い、裏切り、表と裏の顔…見た目の美しさとは対照的な“闇”が描かれ、その相反するものが面白さだと話す。「スゴくきれいな映像が映し出されるなかで、それが鮮やかであればあるほど毒々しくも見えてくるんですよね。いつみの死の真相について文学サークルの部員たちがそれぞれ感想文=告発文として語っていきますが、台本を読んだときも、完成した映画を観たときも、人はなんて多面的な生き物なのだろうと思いました。少し視点を変えると物事は全然違って見えることをとても面白く描いています」。

視点を変えることで人の印象も変わる。
千葉さんにはどんな多面があるのだろうか。

「僕、ですか(笑)。よく、可愛らしいとかほんわかしていると言われますが、それも視点を変えると、腹黒いとかあざといとも捉えられるので、表裏一体ですよね。以前は、『カワイイですね』と言われると、『そんなことないですよ』って答えていましたが、だんだん面倒くさくなってきて…。そう言われるってことは、俺はカワイイんだって開き直って、『よく言われます』ってそのまま受け止めるようになりました。しかもそういう切り返しをみなさんが楽しんでくれる、その反応が面白くて続けていましたが、僕けっこう飽き性なので、そろそろ変えたいなぁと思っているところです(苦笑)」。

千葉雄大『暗黒女子』/photo:You Ishii
「美しく毒々しい」という女子高生が内包する怖さにゾクゾクさせられるが、千葉さんが本当に「美しい」と思うのはどんな女性?

「外見の美しさの捉え方は人ぞれぞれだと思いますが、僕が美しい女性だなと思うのは、言葉遣いやしぐさの美しい人。それは男女ともに言えることですね。
この映画の女性キャラクターはみんな見た目も美しいし、言葉遣いやしぐさも美しい。お嬢様学校に通っていて、汚いことはひとつも知らないような女の子に見えますが、その中ではものすごく汚れたことが行われているっていうのが怖い。見た目や立ち居振る舞いが美しいからこそ、より内面の怖さが引き立っていました」。

その美しさと怖さのなかで北条先生がどう翻弄されていくのかも見どころのひとつだ。最後に、『暗黒女子』を含めて今年は5本の映画公開が決定している千葉さんの今後も聞いておきたい。

「俳優の仕事をはじめて7年になりますが、まだまだです。初日は緊張しますし、探りながら現場に慣れていくタイプなので最初からスゴく楽しい!とは言えないですし、撮影が進んでいけば悩みも出てきます。でも、それでも現場が好きですね。
観ている人の心のなかで何かひっかかってもらえたら嬉しい。そして、今回の映画の多面性にも通じることですが、人が思う自分と自分が思う自分はけっこう違っていたりする、周りから勧められた役には何かしら理由があるはずだと思っています。まずは求められていることを全うすることを大切に、積極的にいろいろな役に取り組んでいきたいです」。

(text:Rie Shintani/photo:You Ishii)

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