不器用でも温かい…父子の愛に涙『ありがとう、トニ・エルドマン』ほか4選
今年のカンヌ国際映画祭の審査員にも抜擢された、今後有望なアデ監督が描くのは、ちょっと不器用だけど、どんなに大きくなろうとも離れて暮らす子どもを心配し、幸せになって欲しいと願う父親の姿。ラストでは誰もが笑って泣き、父親への感謝を感じずにはいられない。父の愛情を描いた数多くの名作に並ぶ、新たな傑作が誕生した。
■『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997年)
どんな状況下でも「人生は美しい」ことを教えてくれた父の愛
カンヌ国際映画祭グランプリなど当時の主要賞を総なめにした、父の深い愛情を感じる金字塔的作品。イタリアの喜劇俳優ロベルト・ベニーニが監督・脚本・主演の3役を務め、アカデミー賞主演男優賞と外国語映画賞をW受賞したことでも注目を集めた。戦時下、強制収容所に送られたユダヤ人の父親グイドは、母親と引き離される幼い息子ジョズエを何とか励ますため、「これは、いい子にしていれば得点がたまるゲームだ」と、うそをつく。ガス室に向かう日も、ジョズエがシャワーを嫌がっていたことから「シャワーの日」と言って、なんとか生き延びることができた。絶望的な状況下でも、息子を笑顔にさせるため、おどけ続ける父。
涙が止まらない衝撃のラストが待ち受ける傑作。