2017年10月25日 22:00
【シネマモード】生き方は違っても、女の友情はゆるぎない――『はじまりの街』
何かのスタートが、いつも喜びと期待だけで満たされているとは限りません。何かから逃れてきた者にとっては、新しい人生の第一歩でありながらも、不安でいっぱいに違いないのです。イタリア映画『はじまりの街』のヒロイン・アンナと、その13歳の息子・ヴァレリオもそう。夫のDVから逃れるためローマを離れたアンナは、自分が暴力を受けたところを目撃してしまった息子を連れて、晩秋のトリノへと向かうのです。
トリノで待っているのは、久々に会う親友のカルラ。独身を謳歌しながら、大好きな舞台女優として暮らす陽気な彼女は、温かく2人を自らのアパートに迎え入れます。性格も生き方も正反対のアンナとカルラですが、自分に欠けているものを相手の中に見出し、押し付け合うことなく補い合い、人生におけるかけがえのない存在になっていきます。
自分がことさらつらい目に遭ったとき、こんな親友がいてくれたら。
大人になって全く違った道を歩んだときでも、何年も合うことが叶わなくても、絶えることのない素敵な関係性に思わず涙が溢れるのです。
深く心を通わせ、支え合うアンナとカルラですが、ライフスタイルが違うせいか、ファッションの好みも大きく違います。