【インタビュー】錦戸亮 俳優であることへの“無意識”が生み出すナチュラルな存在感
「そこまでね、何も考えてないですよ(笑)」――。
錦戸亮が映画やドラマの中で醸し出す「あぁ、こういう人、ホントにいそう!」という自然な佇まいはどうやって生み出されるのか? そんな問いにインタビュアー泣かせの答えが返ってきたが、それは彼の本音に他ならないのだろう。
ちょっと気弱な教師や公務員といった現実社会でごく普通に見かけるタイプの人間から、恋人に異様な執着を見せるDV男(「ラスト・フレンズ」)、さらには現代にタイムスリップした侍(『ちょんまげぷりん』)といった特異なキャラクターまで、ごく当たり前のようになり切ってしまう。ジャニーズ、いや、同世代の俳優の中でも、間違いなくトップクラスの演技力を有するが、当人は、自身が“俳優”であることさえ意識していないようにも見える。
『桐島、部活やめるってよ』、『紙の月』などセンセーショナルな作品を発表し続ける吉田大八監督の下、4年ぶりの単独主演映画として挑んだのがまもなく公開となる『羊の木』。極秘の社会プロジェクトとして、かつて殺人を犯した6人の元受刑者たちが、10年の定住を条件に、刑期を大幅に短縮され、地方都市・魚深市に移り住むという物語で、錦戸さんは、彼らの受け入れ担当を命じられた市の職員・月末(つきすえ)