2018年2月15日 08:30
【インタビュー】エドゥアルド・デルック監督が語る ゴーギャンが味わった人生の敗北、そして画家としての成功
タヒチでの野性的な暮らしに心を残しながらも、強制的に文明=フランスへと戻らざるを得なくなる。そんなゴーギャンの“敗北”に焦点を当てた理由は何だったのでしょう。
「『ノア・ノア』の紀行文の最後に描かれていますが、彼はみすぼらしいアーティストとしてフランスに強制送還されたわけです。彼は野性的な人間になりたいと思っていましたが実際は、なかなかそうはいきませんでした。ただ、そんな終わりを迎えつつも、芸術的視点からすれば、タヒチでの日々は光り輝くような色彩が生まれたときであり、作品が芸術として昇華する時期でもありました。人間としては貧しくてお金が無くてみすぼらしくても、画家としては自分が求めている絵画に出会い進化するという時期。当時の彼を見るとたしかに敗北を喫したかもしれませんが、いまある栄光をつかんだ時期だとすれば、それは“成功”といえるかもしれない。とても興味深い時期なのです」
―同じ創作に関わる者として、 監督がゴーギャンに共感する部分、うらやましく感じる部分などはあるのでしょうか?
「彼をうらやましく思うことは一切ないですね。
大きな犠牲を払い、過酷な人生を送りましたからね(笑)。家族や子どもを失うなど、私が絶対に経験したくないことばかり。