【インタビュー】篠原涼子、女優として母として難役に挑む覚悟を語る
仕事に対して湧き出てくる気持ちが、独身時代とはまったく違います」。
特に本作では、実生活に近い役柄を演じているため、過去のどの作品よりも、自身の感情とシンクロする部分は多かった。映画を通して“当たり前”だと思っていたことが「そうではないんだ」と痛感したという。
「この役を演じてみて、いま自分が子どもを育てている環境が、いかに幸せなことなんだと実感しました。うちの子は朝になれば目を覚ますし、元気でご飯も食べます。わんぱく過ぎてわがままを散々言うので『うるさい!』と思うこともありますが、(篠原さんの娘役の)瑞穂は目を覚まさないし、会話もできないんですよ。なにかと比較することではありませんが、日々の日常に感謝する気持ちが強くなりました」。劇中の薫子は、シビアな現実に対して、やり方について賛否はあるかもしれないが、ある信念のもと突き進む芯の強さを見せる。
堤監督からも薫子を演じる際、「芯の強さ」を意識するように声を掛けられた。
「私自身は、困難があっても『これが人生なんだな』と思い、前向きに発想を転換していくタイプなんです。もちろん、劇中の薫子のような厳しい立場を経験したことはありませんけど」。