いま“青田買い”するならこの俳優!『天国でまた会おう』“顔をなくした男”に注目
2018年セザール賞で5部門受賞を果たしたフランス映画の必見作『天国でまた会おう』。本作で特に注目してほしいのが、主人公のひとり、戦争によって“顔に重傷を負う”エドゥアールを演じるナウエル・ペレーズ・ビスカヤートだ。
ナウエル・ペレーズ・ビスカヤートは、アルゼンチン・ブエノスアイレス出身の32歳。2003年にアルゼンチンのTVミニシリーズで俳優デビューし、本国のTVシリーズや映画に多数出演して注目され、近年はヨーロッパの映画への出演が目白押し。
一方で、2014年に共同監督・脚本として参加したベトナム語による短編ドキュメンタリーがロッテルダム国際映画祭に出品されており、本人Instagramに挙げられるアーティスティックな写真の数々などからは、彼自身が持つ独特の世界観も垣間見えてくる。
日本では巨匠ブノワ・ジャコ監督作『肉体の森』も映画祭上映されたが、出演作が劇場公開されたのは2018年カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた『BPM ビート・パー・ミニット』が初めて。
死と隣り合わせの中、人生を鮮烈に生き抜いたHIV陽性患者ショーンを熱演したナウエルは、たった1作で日本の映画ファンに強い印象を残した。本作で演じるエドゥアールにもSNSでは「BPMの彼だ!」といった投稿は数多く、感度の高い女子からすでに熱い視線が注がれている要注目の“ネクストカマー”である。
本作『天国でまた会おう』でナウエルが演じたエドゥアールは、母を早くに亡くし、大企業を経営する父親との対立が深まり、終戦とともについに絶縁することになる御曹司。幼い頃から画家を夢見ていたが、戦地でもうひとりの主人公アルベールを救った時に顔に重傷を負い、その夢は絶たれてしまう。だが、年の離れた奇妙な友情を育むことになる彼の励ましもあり、沢山の仮面を作り、それを自らの顔に着けることで様々な“心”を代弁させていく。
エドゥアールは劇中の多くの場面で仮面やマスクを着けているため、ナウエル自身の一度見たら忘れがたい瞳や印象的な顔立ちはそれほど多く見ることができないが、仮面とまさに一体化した演技、抜群の身体感覚を活かした喜劇的な動きや洒落たダンスシーン、そしてやがて訪れる父との対峙など、才能あふれる演技を堪能できる必見ポイントは盛りだくさん。アルベール役にして監督を兼任するアルベール・デュポンテルは、ナウエルについて「エドゥアールの視線、動き方、生意気で冷やかすような表情、ナウエルはそのすべてを持っていた。彼はその視線に、登場人物の想いを凝縮させたんだ。あとは私が撮影するだけだったよ」と絶賛を惜しまない。
ちなみにフランスでは、本作公開の約2か月前に『BPM』が公開され、そろって2018年セザール賞に大量ノミネートされた結果、フランス人ではない彼が主演したこの2作品がほとんどの賞を獲り尽すという驚異の席巻ぶりをみせた。
その後も南米の大先輩ガエル・ガルシア・ベルナルと共演したフランス映画『If You Saw His Heart』(英題)や、イタリアの歴史ファンタジーとなる主演作『Agadah』(原題)といった映画に出演したが、この2作品の日本公開は未定。つまり、本作での演技は、“いま観るべき”貴重な機会となりそうだ。
『天国でまた会おう』は3月1日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。
(text:cinemacafe.net)
■関連作品:
天国でまた会おう 2019年3月1日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開
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