2009年6月11日 21:24
いけちゃんと恋愛小説家 vol.1 小川洋子 寂しさと共に息子の成長を見つめる母
(Photo:cinemacafe.net)
シンプルで力強く、思わずクスリと微笑んでしまうような画風と、強烈な笑いと優しさ、そして人生の哀しさを織り交ぜた叙情的な物語で唯一無二の世界を構築する漫画家・西原理恵子。彼女が初めて手がけた絵本「いけちゃんとぼく」がこのたび実写映画化された。これを記念し、原作絵本の大ファンである小説家の方々にその魅力を語ってもらう特別インタビュー企画を3回にわたりお届け!第1回目に登場するのは「博士の愛した数式」、「ミーナの行進」など、その美しく繊細に紡がれる物語が多くの読者を魅了する小川洋子さん。
海辺の街に暮らす少年・ヨシオと、いつも彼に優しく寄り添う不思議ないきもの“いけちゃん”の交流を通して、少年が少しずつ大人へと成長していく姿が綴られる本作。小川さんにまず、映画を観ての感想を尋ねると「原作に忠実で、絵本と映画、その境界線を感じることなくすんなりと物語に入っていくことが出来ました」という答えが返ってきた。
「実際に動いているいけちゃんにも、全く違和感を感じなかったです。映画ならではの魅力として感じたのは、原作では描かれていない親子の関係、特に父親が戦艦・長戸が大好きで、その魅力を息子に語って聞かせる姿は父と息子の繋がりが描かれていていいな、と思いました」。