SABU、大学生たちに『蟹工船』パワーを指南「借金踏み倒してでも生きろ!」
(Photo:cinemacafe.net)
昨今の世界的不況との重なりの中で、発表から80年のときを経て、一躍脚光を浴びた原作小説だが、海外にいたせいでこのブームを知らなかったというSABU監督。「戻ったら不況で俺も仕事がない。映画の話がきたときは『蟹光線』という動物ものかと…(笑)」とも。今回の映画化にあたり、現代の観客に向けて、あえて主人公や時代設定を特定せずに作ったというが、中でもオリジナルで加えた集団自決のシーンには「『自分で決める』という前向きな団結として描いた」とのこと。「2〜300万という借金で首を吊る人も多いいま、踏み倒してでも生きろ!と。
『言い訳しても進まない、どうなりたいか考えて行動すればどんどん良くなる』というメッセージを込めた」とその真意を語る。
これに呼応するように、豆岡氏も学生たちに向かって「貧困や厳しい労働を肉体で知らない若い世代は、貧困格差のリアルさより、いまの“閉塞感”に『変わらないのでは…』という姿勢から始まっている気がします。本作が伝える『もう一度、立ち上がれ!』は現代社会へのメッセージに尽きます」と言い切った。
また、学生から原作と映画を比較した意見を求められた高橋教授は、「原作は悲惨な状況の中、『疲れたから寝る』を繰り返すモノクロイメージを持っています。でも、命の軽さや悲惨さを描いたら暗くなるだけで、そのままではつらい。一方で、本を読み込むとそこには真面目なだけじゃなくユーモアもある」と分析。そして「文化としての『蟹工船』と映画としての『蟹工船』は別物。多喜二をも超えて、文化と映画の美しいコラボレーションとなったと思います」とSABU監督に称賛を贈った。
ちなみに、学生たちに行ったアンケートでは、映画に対する評価は高かった様子。果たして、これから社会に出る彼らに現代の闘争の物語はどのように響いたのか?『蟹工船』は7月4日(土)よりシネマライズ、テアトル新宿ほか全国にて公開。■関連作品:
蟹工船 2009年7月4日よりシネマライズ、テアトル新宿ほか全国にて公開
© 2009「蟹工船」製作委員会
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