幸せのきっかけはここにもvol.1 アフリカンドラムのリズムにも『扉をたたく人』
(Photo:cinemacafe.net)
6月。と言えば、ジューンブライドですね。6月の花嫁は幸せになれると言われますが、“6月の花嫁”にならなくても、幸せになる方法はきっといくらでもあるはず。というわけで今月は、日常にもある幸せのヒントを描いた映画をご紹介します。
初回にご紹介するのは、『扉をたたく人』。2009年アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたことでも知られる作品です。この映画、主人公を演じるリチャード・ジェンキンスがとてもいい。もちろん彼が、オスカーノミニーです。
ジェンキンスが演じているのは、妻を亡くしてからずっとふさぎこみ、単調な毎日の中で、喜怒哀楽をほとんど見せない“閉じている”男。人との交流を避け、他者を受け入れることを拒絶した大学教授で、9.11直後のアメリカを体現したかのような人物です。
そんな彼が、偶然出会ったのが不法滞在者のカップル。いままでの主人公なら、カップルとは単に通りすがりだったはず。ところが、シリア出身の男性の方が、アフリカンドラム“ジャンベ”の演奏者だったことが、出会いを決定的なものにするのです。彼らとの、そしてジャンベとの出会いにより、数々の感情が生まれ始めるというシンプルな物語なのですが、ちりちりと微妙に動き始める主人公の心が絶妙なタッチで描かれていて、妙に泣かせるのです。