【どちらを観る?】男たちの不屈の魂、激突! 『劔岳 点の記』VS『蟹工船』
(Photo:cinemacafe.net)
“諦めないこと”。日本地図を完成させるため前人未踏の山・劔岳に挑んだ男たちの物語『劔岳点の記』、劣悪な環境で働く出稼ぎ労働者たちの闘争を描いた『蟹工船』。毛色の違うこの2本の映画に共通するのは、そんなメッセージだ。
『劔岳点の記』は、『八甲田山』、『駅 STATION』、『鉄道員(ぽっぽや)』など日本映画史に残る名作・話題作の映像を生み出してきた名カメラマン・木村大作が、50年のキャリア、50本目の映画にして初めてメガホンを取った記念すべき作品。見どころは何と言っても映像の素晴らしさ。大自然の厳しくも美しい姿をフィルムに焼き付けるため、実際に劔岳・立山連峰各所で撮影を敢行。主演の浅野忠信をはじめ香川照之、松田龍平、仲村トオル…という実力派俳優たちも3,000m級の劔岳に登り、本物の映像と共にその場に行くことでしか生み出せない台詞と表情をカメラに向けた。
いまから100年前に険しい山中に三角点を設置した明治人の真実の物語を本物の映像で描く──CGが当たり前になったこの時代に敢えて危険な撮影に挑んだ本作には“本当に撮影したのか?”と疑いたくなるほどの驚きの映像が詰まっている。