【インタビュー】香取慎吾×白石和彌 アイドルではない“見たことのない姿”を引き出す
白石和彌監督の『凪待ち』は、ファーストショットからガツンと来る。
「荒んでる」。昼日中の街を行く主人公・郁男を演じる香取慎吾を見て、まず頭に浮かんだ言葉だ。6月28日(金)より公開される『凪待ち』の中で生きる彼の淀んだ表情を目の当たりにすると、いままでずっと見ていた“慎吾ちゃん”という竜宮城が一瞬にして消え去り、ギャンブルにはまる自堕落な男のリアリティが現れる。だからといって、それが40代を迎えた香取慎吾という人の真実かといえば、目の前にいるその人は当然ながら、郁男ともまた違うのだ。
“見たことない姿”は「僕がいつも見てる僕」
「正確にはわからないですけど」と言いながら、香取さんは「最近思っているのが、それこそキャラものと言われるような孫悟空とか、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両さんを演じてきたうえで、40を超えて初めて、こういう人間ドラマをやれたのかなという感じがします」と語る。「この深い人間の役を通して、40に入った男の感じが初めて映っているのかなと思ってます。ただ不思議なのは…この郁男の姿って、僕がいつも見てる僕なんですよね」と続ける。
「今日もそうだけど、やっぱり仕事では“きれいきれい”するじゃないですか、アイドルだから」