2019年9月13日 17:00
【ネタバレあり】『アス』を徹底解説!ジョーダン・ピールの世界を読み解く5つのキーワード
《text:宇野維正》
主人公一家を乗せたメルセデスEクラスのちょっと古いステーションワゴン(このクルマのチョイスだけで、彼らが比較的裕福なこと、でも父親はちょっと見栄っ張りなことがわかる)が、サマーバケーションを過ごすためカリフォルニア州サンタクルーズにある母親の実家が所有する別荘へと向かう。
カーステから流れるのは「I Got 5 On It」。カリフォルニア州オークランド出身のルーニーズが1995年にリリースした、ベイエリアヒップホップのクラシック。父親と母親の世代にとってはティーンの頃を思い出させる懐メロだ。でも、子どもたちは言う。「これってマリファナのことでしょ?」。その通り。友達が1パック10ドルで買ったマリファナ、それを半分分けてくれと5ドル札を手渡すときの決まり文句、それが「I Got 5 On It」だ。
その「I Got 5 On It」は物語のクライマックスにも再登場。そこでは、前作『ゲット・アウト』に続いてスコアを手がけたアベル・エイブルス(ちなみにジョーダン・ピールはスティーブン・スピルバーグから直々に「彼は君にとってのジョン・ウィリアムズになるから今後も一緒にやり続けた方がいい」